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北海道支部

2023年10月 北海道医師会 「帯状疱疹ワクチンについて」


帯状疱疹は突然体の左右どちらかの神経に沿って、水ぶくれを伴った赤い発疹が多数集まって帯状に現れ、ピリピリと刺すような痛みとかゆみを伴います。合併症として、神経の損傷によって夜も眠れないほど「焼けるような」激しい痛み「帯状疱疹後神経痛(PHN)」が3ヵ月以上続くこともあります。主に50歳以上の高齢者で発症することが多く、加齢とともに増加して70歳代では年間千人当たり8人程度に発症が増加します。加齢、ストレスや疲労等による免疫力の低下をきっかけに帯状疱疹の症状が現れます。
帯状疱疹の原因は、以前は5歳までに85%がかかる水ぼうそうの原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。子どもが最初にウイルス(VZV)に感染すると、発熱とともに水ぶくれを伴った赤い発疹が全身に出現します。かゆみが強くひっかき傷ができます。おおよそ1週間程度でかさぶたを作り軽快します。毎年冬から春にかけて流行していました。潜伏期間は約2週間です。口腔内のつばや発疹の水ぶくれの中にウイルス(VZV)がいて、飛沫感染や接触感染により拡がります。

治療は対症療法として、水ぶくれにフェノール亜鉛華軟膏の外用、ひっかき傷には抗生剤の軟膏による処置を行います。発熱・鎮痛に対しては解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン、かゆみに対しては抗ヒスタミン剤の内服が有効です。原因療法は抗ウイルス薬としてアシクロビルやバラシクロビルの内服を行い、重症の場合は点滴治療があります。
ウイルス(VZV)が水ぼうそう治癒後に知覚神経節に潜伏し、数年後に免疫が低下した際に再活性化すると帯状疱疹が発病します。
成人の90%以上はウイルス(VZV)を体内に潜伏しており帯状疱疹を発症する可能性があります。最近は1歳児の子どもに弱毒生水痘ワクチンを2回接種して免疫をつけるため、子ども達は水ぼうそうにかからないため、水ぼうそうの流行発生が見られません。以前は定期的に水ぼうそうが流行していたため、周囲で水ぼうそうが流行しても、ウイルス(VZV)の抗体が幾分ある方は水ぼうそうに罹らずに抗体が上昇するブースター効果がありました。そのため最近は、感染症の流行状況の変化により、ウイルス(VZV)に対するブースター効果がなくなり、高齢者のウイルス(VZV)の免疫(抗体)が低下して、帯状疱疹が高齢者の間で増加して、重症化しています。特に糖尿病、悪性腫瘍や重症感染症や免疫抑制剤・抗がん剤で治療している方は帯状疱疹を発症しやすく、重症化しやすい。治療は水ぼうそうと同じですが、できるだけ早く抗ウイルス剤を使用することにより重症化を抑制することが可能です。
顔に帯状疱疹が発症した場合には合併症として、結膜炎、角膜炎、顔面神経麻痺、耳の部位に帯状疱疹が発症した場合は合併症として、耳鳴り、難聴、めまい等の症状があります。激しい痛みが長時間続くPHNの場合は痛みの治療を専門とするペインクリニック等による「神経ブロック」という神経周囲に局所麻酔薬を注射する治療が必要になることもあります。
予防には2種類の帯状疱疹ワクチンがあります。いずれも50歳以上からワクチンを接種することが可能です。生ワクチンは1回接種であり値段は1万円程度です。生ワクチンの帯状疱疹の発症予防効果は60歳以上で51%程度です。PHN予防効果は67%、8年後で32%程度の効果があります。高齢者やがん患者等の帯状疱疹で重症化しやすい方の予防効果は不十分です。副反応として局所の痛み、発赤やはれと1~3%に水ぼうそう様の発疹があります。ただし、妊婦さんや免疫抑制剤を服用している方は受けられません。不活化ワクチン(シングリックス)は2回接種で4.5から5万円程度です。不活化ワクチンの発症予防効果は50歳以上で97%、70歳以上で98%程度です。PHN予防効果は10年後で80%効果があります。高齢者やがん患者も効果は高く、神経痛(PHN)を抑制する効果も高いです。副反応として発熱が40%、筋肉痛が40%と局所の発赤や腫脹があります。また、アナフィラキシーのある方や明らかな発熱のある方や急性疾患で治療中の方等は受けられません。帯状疱疹のワクチン接種は一部の市町村では公費助成が受けられますので確認してください。

帯状疱疹はストレスや疲労等をきっかけに発病するため、帯状疱疹になりにくい体づくりのためには、食事のバランスに気を付ける、睡眠をきちんととるなどの規則正しい生活習慣、適度の運動が大切です。 

(常任理事 三戸和昭)


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