2019年 8月 北海道歯科医師会「フレイルとオーラルフレイル」
皆さんは「フレイル」という言葉をご存知ですか?2014年に日本老年医学会が提唱した概念で健康な状態と要介護状態の間に位置し、身体機能や認知機能の低下が見られる状態を指しますが、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があります。
「フレイル」を構成する要素として認知機能の低下やうつ病などによる精神的・心理的要素、独居や経済的困窮などによる社会的要素、そして運動機能低下や低栄養などによる身体的要素で構成されます。「フレイル」の進行を予防するためには、この三つの要素を総合的に診て判断しなければいけません。
歯が悪くなると物がうまく噛めなくなり低栄養になったり、発音がうまくできなくなったりしますし、舌や口の周りの筋肉が衰えると、むせや食べこぼし滑舌の悪化が起こります。また唾液の分泌量が減るとお口の中が乾燥して飲み込みにくくなります。このようなお口の中の機能が衰えることを「オーラルフレイル」といいます。「オーラルフレイル」は食生活が悪化することにより低栄養を招き、会話が困難になるので社会との関わりの減少を招きます。
このように「オーラルフレイル」と「フレイル」は深く関係しています。日頃からかかりつけ歯科医院でのチェックを受け、適切な対応策を取ることが「オーラルフレイル」を予防し、更に「フレイル」ひいては要介護状態を防ぐことにつながります。