2019年 3月 北海道薬剤師会 「風疹について」
平成31年03月02日
風疹
昨年から風疹が流行しています。風疹は風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、流行は春先から初夏にかけて多くみられます。今年も風疹の流行が懸念されています。
風疹の潜伏期間は2-3週間(平均16-18日)で主な症状は、発疹、発熱、リンパ節腫脹を特徴とします。症状は子供では比較的軽いのですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が発生することがあります。また、大人がかかると、発熱や発疹の期間が子供に比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。
特に、妊娠20週頃までの妊婦が風疹にかかると、胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等の障がいをもった赤ちゃんが生まれる可能性があります。
風疹ワクチン
風疹ワクチンは、弱毒化を行った種ウイルス(弱毒株ウイルス)を培養・増殖させ、凍結乾燥したものです。弱毒株ウイルスを接種した場合、通常の風疹感染と違ってほとんど症状はありませんが、風疹ウイルスに対する免疫を得ることができます。
風疹の予防接種を行う主な目的の一つは、妊婦が風疹にかかることによって生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群の障がいをもつことのないように、またそのような心配をしながら妊娠を続けることのないように、あらかじめ予防することです。予防接種は風疹の自然感染による合併症の予防にもなり、大人が感染して重症になることも予防します。風疹はワクチンで予防可能な感染症です。
集団免疫
多くの人が予防接種をうけると、個人が風疹から守られるだけでなく、ほかの人に風疹をうつすことが少なくなり、社会全体が風疹から守られることになります。ワクチンには、自分を感染源から守るだけでなく、集団の接種率を上げることで感染源を少なくして、流行を防ぐ役割もあります。これを集団免疫と言います。
定期予防接種とスケジュールについて
2013年度からは、1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)に原則として、麻疹風疹混合(MR)ワクチンが接種されるようになっています。 この間に接種をうけると、公費負担を受けることができ、通常無料または若干の自己負担のみで接種できます。なお、風疹予防接種の記録は免疫の有無の確認に将来必要です。女性・男性ともに生涯大切に保管してください。
昨年の風疹の流行では、30~50代の男性患者が多く見られます。これは過去の予防接種制度において、この年代の男性がワクチン接種をしていないことから免疫を持っていない人が多いためです。
国の定期接種で男女ともに2回の接種ができているのは90年4月2日以降生まれの人たちで、これより年上の人は感染の危険性が高い可能性があります。
厚生労働省は2019年~2021年度末の約3年間にかけて、これまで風疹の定期接種を受ける機会がなかった昭和37年4月 2日~昭和54年 4月 1日生まれの男性( 現在39歳~56歳)を対象に、風疹の抗体検査を前置した上で、定期接種を行うことを発表しました。
感染すると妊娠中の配偶者やパートナー、職場の同僚などにうつすことで、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断される可能性が生じます。風疹の流行年と先天性風疹症候群の発生の多い年は一致しており、風疹の流行を抑えることが、先天性風疹症候群の発生のリスクを抑えることにつながります。
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