いわゆる「健康食品」と呼ばれるものについては法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取されるもので、健康の維持・増進に役立つことを期待して販売されている食品全般を指しているものです。
太古より不老不死は人間の願望であり、いつまでも健康でありたいと願うため健康食品は人を惹きつけるのだろうと思います。実際、かなり多くの人が一度は健康食品に興味を持った、あるいは摂取したことがあるのではないでしょうか。ただ、健康食品が原因で体調を崩す事例などもあるため、その使用には注意が必要です。
まず、健康食品は病気を治すものではありません。医薬品と同じように考えて使用していると適切な治療の機会を失うことになりかねず、病気の治癒が遅れたり症状が悪化したりすることがあります。健康食品は治療が必要な病気の人に向けたものではないのです。
また、医薬品と健康食品の併用による相互作用にも注意が必要です。健康食品の成分によっては薬の効果が弱くなったり、副作用が強まったりすることがあります。普段から医薬品を処方されている方が健康食品を使用したいと思った時は、必ずかかりつけの医師・薬剤師に相談してください。
健康食品は食品だからいくら摂取しても大丈夫、薬と違って副作用もない、と考えてはいけません。過剰に摂取すれば有害事象が起こります。普通の食事では「飽きる」「満腹になる」ということが特定成分の過剰摂取を防ぎますが、錠剤やカプセル化された健康食品・特定の成分を濃縮した健康食品には、摂取のしやすさから過剰になるという可能性があります。
いくつもの製品を同時に摂取することも避けましょう。もし有害事象が起きた時、どの成分が有害作用の原因になっているのかを突き止めるのが難しく、判断できない場合が多くなります。
健康食品はアレルギーの原因となることがあります。特に天然由来品には注意が必要です。産地・収穫時期・天候などの条件によって品質が一定しない傾向があり、いろいろな成分が含まれていますが全ての成分が明らかとなっているわけではありません。有害物質・不純物などが除去されていない可能性もあります。そのようなことから、有害事象が起こり得るのです。
そもそも、健康食品が本当に必要かどうかを考えてみましょう。主食・主菜・副菜など普段からバランスの取れた食事を摂取していれば、栄養がそれほど不足したりはしないはずです。厚生労働省と農林水産省が作成している「食事バランスガイド」を参考にしてみてください。
また、栄養・運動・休養が健康の三大要素とされています。健康であるために、適度な運動や心身の疲労回復に必要な休養も必要であることを忘れないでください。
(理事 前田 浩司)