2024年12月 北海道歯科医師会 できれば抜いておきたい「親知らず」
「親知らず」の正式名称は「第三大臼歯」。歯列の最後方に生えてくる歯です。余談ですが、「第三」ということはその手前にあるのは「第二大臼歯」ということになります。生え始めるのは二十歳前後。諸説あるでしょうが、平均寿命が50代だった江戸時代に「親が亡くなるころに生えてくる歯」として呼ばれるようになったようです。
そのような名称が付くのですから、江戸時代から「親知らず」が痛む」という症状は、単に「歯が痛む」とは違ったようです。
まれにきちんと生えている方もいますが、親知らずはきちんと生える場合はほとんどないので、残念ながらその存在はお口の平和を乱します。最後方に生えるので、通常の治療は困難です。また、プラークコントロールも困難になります。その結果、むし歯になりやすくなります。歯ぐきも腫れやすくなります。ですから、治療は抜歯となることが多いです。
ただそれだけならいいのですが、親知らずの存在は「第二大臼歯」までも、むし歯や歯周病になりやすくしてしまいます。ですから第二大臼歯を守るためにも、親知らずは早めに抜いておきたいところですよね。
しかし、いざ抜歯となるとためらうどころか、拒絶される方がいるかもしれません。抜歯後に症状が強く出る方もいますので、それも一つの考えでしょう。でも、放置した結果、第二大臼歯がむし歯や歯周病という被害を受けるどころか、発熱することもあります。
早期の抜歯を強くオススメしたいところですが、条件次第で抜歯を先延ばしにすることも可能です。条件は最低でも半年に一回は、歯科を受診してお口の状態をチェック・管理してもらうことです。少なくとも症状が出るのを先延ばしにすることは、可能となることでしょう。
むし歯や歯周病は致命的な病気ではありませんが、進行させてしまうと治療期間は長くなり、通院回数も多くなります。そうなると、治療中断のリスクも高くなります。お口の中が平和なうちに対策を取りましょう。