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北海道支部

2019年 7月 北海道医師会  「アニサキス症」


 夏は食中毒の季節です。食中毒というと、サルモネラ菌やノロウイルス、ロタウイルスといった最近・ウイルス性の感染をすぐに思い浮かべます。しかし、一方寄生虫による食中毒も多く報告されるようになりました。

 アニサキスという寄生虫による疾患をアニサキス症と呼んでいます。アニサキスはアニサキス科アニサキス属に分類される寄生虫の総称です。最終宿主はイルカやクジラなどの海洋哺乳類で、それらの消化管に寄生します。アニサキスの卵が最終宿主の排泄物とともに海中へ排出されます。その卵を食べた第一中間宿主(オキアミなどの甲殻類)の中で成長して、されにそれらを捕食した第二中間宿主(イカや魚類)の腸管でさらに成長して、再度最終宿主に捕食されるという循環を繰り返します。

 第二中間宿主の中で長さ2~3センチに成長した幼虫は、人の腸管内にとどまることができるため、生や調理が不十分な状態で食べた時には、アニサキス症が発生してしまいます。

 アニサキス症の原因としては、鯖(サバ)が有名ですが、それ以外の魚も第二中間宿主になりえます。カツオ、金目鯛、鯛、ほっけ、イカ、など実に47種にアニサキスの幼虫が検出されたことが報告されています。

 アニサキス症は1年のいつでもおこりえますが、この感染症の届け出が義務化されてからは発症の報告は増えています。

 近年、輸送方法の進歩などで、産地から新鮮な魚が届くようになって、寿司や刺身で食べるケースが増えてきました。このような、食文化の変化がアニサキス症の増加の原因と考えられます。

 胃壁にアニサキスが侵入する胃アニサキス症では、魚を食べてから数時間で激しい胃部の痛み、嘔気、嘔吐が起こります。この痛みはアニサキスが胃壁に食いついた機械的刺激と考えられていましたが、最近では胃粘膜上で、起きる虫体に対するアレルギー反応によるものとも考えられています。腸管にアニサキスが侵入する。腸アニサキス症は半日~数日後に腹痛が起きます。時に腸閉塞や腸穿孔を起こすこともあります。

 治療法ですが、アニサキス幼虫に対する効果的な治療薬はありません。胃アニサキス症では胃内視鏡を用いて、胃粘膜に穿入している虫体を摘出します。腸アニサキス症では場合によっては、外科的治療を必要とすることもあります。アニサキスアレルギーに対しては、アレルギーに対する対症療法を行いますが、重篤な場合には、専門的な緊急処置を必要とすることもあります。

 アニサキス症を予防するためには魚を購入する際にはできるだけ新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。内臓に寄生する幼虫が漁獲後に筋肉へ移行することがあるためです。

 魚を調理するときには、目で幼虫がいないか確認してください。意外に見つかるものです。内臓を生で食べないでください。

 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを漬けても、アニサキス幼虫は死滅しません。ただ、アニサキスは冷凍や加熱で死滅するので、調理をする場合には-20℃で24時間以上冷凍するか、70℃で加熱してください。

 よく噛んで、幼虫を切断するのが有効という説もありますが、切断は難しくまた、刺身等をよく噛むというのは決しておいしい食べ方とはいえないようです。

 いずれにしても、生さかなを食べた後に、腹痛等が生じたら、速やかに医療機関にかかることをお薦めいたします。


(常任理事 後藤 聰)


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