令和02年01月01日
皆さんは航空医療って何かご存知でしょうか。以前は、医師を乗せたヘリコプターによる救急医療がメインでしたが、近年では固定翼機(ジェット機など)も利用されるようになり、また災害時の救急活動(防災ヘリ、自衛隊・海上保安庁等の航空機を使った救急活動)や移植医療のための臓器搬送・遠隔地への患者搬送なども含めるようになりました。
さて最も一般的なドクターヘリ(ドクヘリ)は、本邦使用開始後来年で20年となり現在全国で53機が、道内には4機が札幌、旭川、函館、釧路に配備されています。その出動件数は各地域で年間大体350~450件あり、また大きな事故もなく救急車と同じくらい救急医療に貢献しております。
ほかの航空医療については省略しますが、しかしこれらの活動にはいくつかの制限・問題点があります。ドクヘリの場合、夜間や天候不良時の飛行制限・飛行距離の限界(半径約50kmが基本)・着陸地点の制限・高額な運航維持費用・搭乗医師、医療スタッフの不足などが言われています。
そこで近年注目されているのがドローンの医療への利活用です。数年前より日本でも「物流」「災害対応」「インフラ維持管理」「測量」「農林水産業」などへのドローン応用がマスコミでも報道されていますが、まだまだ欧米や中国には遅れをとっているのが現状であります。「空の産業革命」「スマホからドローンへ」を合い言葉に海外では、大きな産業へと発展開発されており、日本でも早急の法律とインフラ整備が求められています。今年の日本航空医療学会総会会長の富山大学・奥寺教授も、「ドローン技術の進歩と展開は、航空医療にとってもはや避けて通ることのできない課題」と述べております。
さてドローンの医療への利活用ですが、すでに試験的に開始されている輸血、医薬品の輸送、災害時のデーター収集、人命捜索などが報告されていますが、将来はAED搭載ドローン、遠隔医療への応用、ドクヘリとのコラボレーション、AI操縦による全天候型ドローンの開発、操縦士のいない患者搬送ドローンなど世界では最先端の研究がなされています。さらに2030年に向けて「鳥のように飛行できるドローン」開発も夢でないかもしれません。
(常任理事 青木 秀俊)