令和01年12月01日
高齢者では、医薬品の包装シート、義歯、洗剤や漂白剤を誤って飲んでしまうケースがあります。消費者庁ではこのような誤飲事例を収集し、ホームページにて注意を促していますが、報告は後を絶ちません。
事故事例を年代別に見ると、75 歳以上の事故が多く、前期高齢者(65~74 歳)92 件に対して、後期高齢者(75 歳以上)では226 件と、2.5 倍にもなります。
製品別に分類すると、医薬品の包装を誤飲したという事例が116 件(うち医薬品PTP シートと記載があった事例は83 件)と最も多く、次いで、義歯・詰め物が67 件、洗剤・漂白剤等が39 件となっていました。
受診した際の処置見込みを見ると、即日治療完了が197 件ですが、通院を必要とする事例が18 件、また入院を必要とする事例が63 件でした。危害の程度としては、軽症が262 件ですが、中等症52 件、重症2件、死亡した事例も2件ありました。また、事故情報318 件のうち、認知症の症状がある方の事故とはっきり記載しているものは37 件でした。
では、事故防止のためにどのような工夫ができるでしょうか。
(1)医薬品のPTP 包装シートは1錠ずつに切り離さないようにしましょう。
(2)定期的に歯科を受診し、義歯を良好な状態に保つとともに、食後には義歯を確認しましょう。
(3)食器の中に洗剤や漂白剤を入れて放置しないようにしましょう。
(4)食品や飲料とそれ以外のものは別の場所で保管しましょう。
(5)食品の容器に食品以外のものを移し替えないようにしましょう。
(6)誤飲・誤食すると危険なものは、認知症の方の手の届かないところに保管しましょう。
次に、うっかり誤飲・誤食してしまった場合の対処法としてはどのような方法があるでしょうか。
誤飲・誤食したものと、その量を確認しましょう。呼吸をしていない、呼び掛けても反応がない等、重篤な症状がある場合にはすぐに119 番に電話して救急車を呼びましょう。意識があり、呼吸も脈拍も異常がない場合でも、症状に応じて下記のような専門機関に相談するなど、緊急度に応じた対応を行いましょう。口の中に残っているものがあれば取り除いて口をすすぎますが、吐かせることまでは勧められていません。吐物が気管に入ってしまったり、吐かせることで症状が悪化する危険性があるものもあります。また、直後に症状がなくても、経過を観察し、いつもと様子が異なる場合には、誤飲・誤食したものを持参して、医師の診察を受けましょう。
●電話相談窓口「救急安心センター事業(♯7119)」等
救急電話相談を利用できる地域がありますが、♯7119 以外の電話番号やネットガイド等で類似のサービスを実施している地方公共団体もあります。
●公益財団法人日本中毒情報センター「中毒110 番」
身のまわりにある洗剤、化粧品、殺虫剤、医薬品、園芸用品などによる中毒事故が起こったとき、下記2か所のいずれかにご相談ください。
大 阪:072-727-2499(24 時間) つくば:029-852-9999(9時~21 時)
(情報提供料:無料、通話料:相談者負担)
出典:消費者庁ホームページ「高齢者の誤飲・誤食事故に注意しましょう!」(令和元年9月11 日)