第16回:歯周治療の必要性について
令和05年05月11日
歯周治療の必要性について
歯科治療を行う上で、あらゆる治療のベースとなる重要な項目があります。
それは歯周病の検査とお掃除です。
日常臨床の中で「汚れ取りはもういいから早く治療を進めて」という言葉をよく聞きます。
『プラークや歯石などの汚れを専門の器具で除去する』
『正しい歯ブラシの選択や歯間ブラシなどの補助器具を使用してもらう』
『歯肉の炎症を減らす』
『歯肉からの出血が減る』
『歯周病の進行を抑制する』
これらは全て繋がっている話です。
例えば歯肉からの出血がなくならない限り、まともな型採りが出来なくなります。
きちんと型が採れてないと不適合の詰め物や被せ物が入ることとなり、結果二次的な虫歯や歯周病の進行を促してしまいます。
歯周治療をおざなりにすると、治療が終わったはずなのに再度の治療が必要となる悪循環に陥ってしまいます。
歯周治療の流れを以下に簡単にまとめました。
①まず1回目の検査を行ないます。
歯面のプラーク付着、歯肉からの出血、歯と歯茎の境の溝の深さ、歯の動揺度合いなどを診ていきます。
②歯磨きの指導や歯茎の上のレベルの汚れを除去していきます。
③2回目の検査を行なって1回目と比較します。
ここでプラークコントロールの改善などが認められた場合は、歯周治療が終わることも勿論あります。
歯肉の炎症や出血の改善などが認められない箇所があれば、歯茎の下のレベルの汚れ取りに移行していきます。
④歯周病の進行具合が重度の場合は検査や歯石除去を繰り返し、場合によっては歯周組織に対する外科処置を行うこともあります。
⑤いずれの場合も治療後はメインテナンスを行い、安定した状態が続くよう努めます。
歯周治療は症状やお口の中の環境、咬み合わせによっても治療の流れや期間が異なります。
納得して治療を進める上でも、歯科医院で十分に話し合い、理解してもらうことが必要です。
繰り返しになりますが、いくら良い治療を受けても自分でしっかり歯磨きをしないと必ず同じように悪くなってしまいます。
習慣を変えるという事は大変難しいことですので、治療が終わった後も定期的にメインテナンスを受けて意識を高めてもらうことが重要です。
佐賀県歯科医師会 地域保健部
成人産業保健委員会 副委員長 眞島 亮太
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