平成31年03月19日
歯周病について ~まとめ~
成人の歯を失う最大の原因は歯周病です。将来、歯を失わないためには、歯周病を若い時から予防することが大切です。そのためには、歯周病を知ることがもっとも大切ではないかと考えます。
歯周病について知ってもらえるよう、数回にわたり歯周病について書いてきました。細かい内容は各回を見ていただくとして、今回は大事なところをもう一度おさらいしていきたいと思います。
① 歯周病の原因や病態
細菌(歯周病菌など)のかたまりである歯垢(プラーク)が歯の表面に付着することで、歯ぐきが炎症をおこします。歯ぐきの炎症が歯を支えている歯槽骨や歯根膜に進行すると、それらは徐々になくなってしまいます。
初期の歯周病は自覚症状があまりなく気づきにくい場合が多いです。歯周病は進行するにともない歯ぐきからの出血や歯ぐきの腫れなどの症状があらわれ、重度の歯周病になると歯がぐらついてきます。
② 歯周病の全身への影響
歯周病は全身に影響を及ぼしているといわれ、いろいろな全身疾患に関わっていると言われています。糖尿病、心内膜炎、早産、低体重児出産など、さらに誤嚥性肺炎も歯周病と関連しています。特に、歯周病と糖尿病には密接な関わりがあり、お互いに影響を及ぼしていることが分かっています。
③ 歯周病と生活習慣
歯周病も生活習慣病の一種と言われ、生活習慣が歯周病に大きく影響を及ぼします。
食生活の乱れや喫煙、口呼吸、薬剤、ストレスなど多くの生活習慣が歯周病を悪化させることが分かっています。
④ 歯周病の予防と治療
歯周病は予防がもっとも大事です。歯周病を予防するにはプラークコントロールでお口を清潔に保ち、生活習慣の改善をはかることが大切です。さらに、かかりつけ歯科医をもち、定期的な歯科検診で歯ぐきのチェックしてもらいましょう。歯周病の予防にはセルフケアとプロフェッショナルケアの両方が必要です。
また、もし歯周病になっても、軽度の歯周病の場合は歯石除去と適切なブラッシングで正常な状態に戻すことができます。ただ、初期の歯周病は自覚症状がほとんどない場合が多く、気づかないうちに歯周病が進行してしまうケースもありますので、やはり、定期的な歯科検診でのチェックが重要です。また、進行した歯周病の場合でも、定期的な歯石除去、外科治療、再生治療によって、自分の歯を長く残せることが可能になってきています。適切な治療とメインテナンス、そして毎日のブラッシングにて歯ぐきを健康に保ちましょう。
★歯周病のセルフチェック★
最後に歯周病のセルフチェックをしてみましょう。
次の項目にひとつでもあてはまる場合は歯周病の疑いがありますので、早めに歯科を受診し、歯ぐきの検査をしてもらいましょう。また、チェックが入らなかった場合でも、将来歯周病で歯を失わないために、定期的な検診を受け、歯周病を予防するように心がけましょう。
□ 歯ぐきが赤く、腫れている。
□ 歯みがきの際、血がでることがある。
□ 口の中がネバつく感じがある。
□ 歯が浮いた感じがする。
□ 口臭がする。
□ 以前より歯が長くなったように見える。
□ ぐらつく歯がある。
□ 歯と歯の間に食べものが挟まることが多い。
一般社団法人 佐賀県歯科医師会
成人産業保健委員会副委員長 尾鷲 俊行
次回は、2019年6月頃に公開予定です。