第19回:う蝕予防とフッ化物配合歯磨剤
う蝕予防とフッ化物配合歯磨剤
よく患者さんに、どういった歯磨き粉がおすすめですか?と聞かれることがあります。TV・CMでは、歯が白くなる、知覚過敏を抑える、歯周病を予防するなど様々な効果をアピールしてどれを買えばいいのか迷ってしまうかもしれません。そんな時は「フッ素が入っているものならなんでもいいですよ」と答えることがありますが、いまはそのフッ素含有の歯磨き粉(フッ化物配合歯磨剤)も色々な濃度があります。
いま一番良いとされているう蝕予防法は、「1日2回以上のフッ化物配合歯磨剤によるブラッシング」です。わが国の通常の歯磨剤は1000~1500ppm程のフッ化物が配合されています。出生から8歳までの間にフッ化物を継続的に過剰摂取(飲み込み)した場合は、フッ素症(エナメル質の縞模様、白斑、白濁など)のリスクとなるかもしれないため、幼児期と小児期に推奨されるフッ素濃度は低くなっています。日本で推奨されているフッ素濃度は、歯が生えてから2歳未満には1000ppmのフッ化物配合歯磨剤を米粒程度、3~5歳には1000ppmをグリーンピース程度、6歳以上には1500ppmを1.5~2㎝程度と言われています。
日本口腔衛生学会などの4学会では、フッ化物配合歯磨剤でブラッシングした後は少量の水で1回のみ軽くうがいし、1~2時間は飲食を控えることを推奨しています。
佐賀県歯科医師会 地域保健部
成人産業保健委員会 委員 中尾真