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佐賀支部

第7回:歯周病の2大危険因子「糖尿病」と「喫煙」について


前回までに歯周病について原因や治療方法などいろいろ述べてきました。特に、歯周病には様々な危険因子により発症リスクが高まることや歯周病と全身の関わりについては、あまり一般に知られていなかった部分だと思います。

ここで、今回は歯周病の2大危険因子といわれる「糖尿病」「喫煙」について、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。

 

〇歯周病と糖尿病

 糖尿病になると全身の免疫力が低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなるだけでなく、治りも悪くなってしまいます。したがって、歯周病も歯周病菌による感染症の一種ですから、歯周病になりやすく、さらに、治りにくくなります。少し詳しく言うと、糖尿病になることで歯周組織の微小循環障害・コラーゲンの合成阻害・歯根膜繊維芽細胞の機能低下・好中球の機能低下などが起こり、歯周組織の細菌感染や炎症の拡大、さらに治癒遅延を引き起こし、歯周病の悪化を招いてしまいます。

一方、歯周病になると歯周病菌由来の毒素や炎症性反応物質が血管を通し、全身へ送られ、筋肉細胞や脂肪細胞に作用して糖の代謝を妨げ、すい臓で作られるインスリン(血中の糖濃度を下げるホルモン)の働きを弱め、糖尿病の悪化を招いてしまいます。

つまり、糖尿病の悪化は歯周病の悪化を招き、歯周病の悪化は糖尿病の悪化を招く悪循環に陥ってしまうことになります。しかし、逆のことも言えます。糖尿病の改善は歯周病の悪化を防ぎ、また、歯周病の改善は糖尿病の悪化を防ぐことができるのです。実際に、ある研究の結果によると歯周病の治療によりHbAlc(血糖コントロールの指標)の値が改善するというデータがでています。

 

                                                        

                   歯周病と糖尿病の関係 

 

このように、歯周病と糖尿病は密接な関係があり、それぞれ一緒に治療や予防をしていく必要がありますが、どちらの病気も初期には自覚症状がでにくく、病気に気づかないまま病気が進行してしまっているケースも多くみられます。したがって、糖尿病や歯周病を予防するには定期的な健康診断、生活習慣の見直しがとても重要なのです。

糖尿病は進行すると以下の症状があらわれやすくなります。

 ◎全身症状

  ・口渇による多飲、多尿

  ・疲労感、倦怠感

  ・体重減少

  ・食欲異常亢進

 ◎口腔内症状

  ・歯周病の重症化

  ・う蝕の多発

  ・口渇、口腔乾燥

  ・炎症の重篤化、治癒遅延

  ・口腔カンジダ症、扁平苔癬

  ・味覚障害

最近では佐賀県でも糖尿病の発症予防、早期発見、合併症予防を推進しており、糖尿病連携手帳などを活用し、多職種が連携して糖尿病対策に取り組んでいます。

 

〇歯周病と喫煙

喫煙は呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患のリスクを高め、妊娠・出産にも悪影響を及ぼすことが分かっています。もちろん、口腔内にも悪影響を及ぼし、むし歯、歯周病、口腔がん、口臭、味覚障害などの発症リスクを高めます。特に喫煙者の歯周病リスクは非喫煙者と比較して約2~9倍高いと言われています。

タバコには約4000種類の化学物質が含まれ、約200種類の有害物質が含まれています。

その中で、三大有害物質として以下のものがあげられます。

 ①ニコチン

  ・血液の循環障害を引き起こし、歯周組織への酸素や栄養の供給量を少なくさせるため、歯周組織の細菌に対する抵抗力が低下する。

  ・依存性がある。

  ・粘膜にメラニン色素を沈着させ、黒く変色させる。

 ②タール

  ・多くの発がん物質を含む。

  ・「ヤニ」として沈着し、歯垢・歯石が付着しやすくなる。

 ③一酸化炭素

  ・血中のヘモグロビンと結合し、酸素の供給能力を低下させ、歯周組織の酸素不足を起こす。

喫煙により、歯周組織の免疫機能の低下や創傷治癒遅延を引き起こし、歯周病の発症リスク、重症化リスクが高まってしまいます。

 

 

           喫煙による歯周組織への影響

 

また、最近ではタバコの副流煙を吸い込む受動喫煙や家財道具や衣服などに付着したタバコの残留揮発成分を吸い込むサードハンドスモーク(三次喫煙)が健康障害を引き起こすことが分かってきました。したがって、喫煙は喫煙者だけでなく、その周りの人の健康にも悪影響を及ぼしています。

ニコチンには依存性がありますから、すぐに禁煙するのは難しいかもしれませんが、最近では喫煙の影響が出やすい口腔内を診る歯科医院で禁煙支援を行っているところも増えていますので、一度相談してはいかがでしょう。

 

 

 

一般社団法人 佐賀県歯科医師会

成人産業保健委員会副委員長 尾鷲 俊行

 

次回は、平成31年3月頃に公開予定です。

 

 

 

 

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