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佐賀支部

第15回:薬剤関連顎骨壊死について


薬剤関連顎骨壊死について

  ビスホスホネート(以下、BP)製剤は骨粗しょう症患者や悪性腫瘍の患者などに用いられる治療薬の1つで、破骨細胞の活性を抑制することで、骨吸収を抑制させる働きがあります。

 2003年に米国のMarxらによって、BPによる顎骨壊死の副作用がはじめて報告されて以来、わが国でも多くの患者が報告されてきました。現在ではBPのみならず、さまざまな薬剤が顎骨壊死に関連することがわかってきたため、従来、BP製剤関連顎骨壊死(Bisphosphonate-related Osteonecrosis of the Jaw; BRONJ)と呼称されてきた病態は、現在ではBP製剤や抗RANKL抗体製剤であるデノスマブなどの骨吸収抑制薬の投与に関連して発症した顎骨壊死を骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(Antiresorptive agent-related ONJ; ARONJ)と呼び、血管新生阻害薬である抗VEGFモノクローナル抗体(ベバシズマブ)やチロシンキナーゼ阻害薬(スニチニブ、ソラフェニブ)などその他の薬剤も原因に含めたものを薬剤関連顎骨壊死と呼ぶようになりました。

 2016年に日本口腔外科学会顎骨壊死検討委員会がARONJの発症頻度を報告していますが、骨粗しょう症でBPの投与をうけた患者では顎骨壊死発症率は0.001〜0.01%、デノスマブの場合、人口10万人年あたり0〜30.2人と述べています。また、がん患者ではデノスマブで1.8%、BPのゾレドロン酸の投与をうけた患者で1.3%の顎骨壊死が報告されています。

 従来、抜歯や切開、インプラント治療などの侵襲的な歯科治療が顎骨壊死の発症リスクとなるといわれていましたが、歯周炎や義歯による褥瘡など、外科処置と関連しない顎骨壊死も認められていることから、現在では普段からの口腔衛生が重要であり、外科処置は禁忌ではないとの考えになっています。また、以前には顎骨壊死の発症予防および治療として骨吸収抑制薬の一時休薬も推奨されましたが、現在では休薬の有効性には否定的な見解が主流です。

 また、薬剤関連顎骨壊死を発症した場合の治療も今までは洗浄や抗菌薬の投与など保存的な治療が主流でしたが、近年では積極的な外科治療を推奨する報告がみられるようになっています。しかしながら、がん患者のような全身状態が不良な患者の場合はそもそもの外科処置が困難な場合も多々あり、治療に苦慮することも少なくありません。

 重要なことは、日頃からかかりつけ歯科で口腔管理を徹底するともに医科と歯科、服薬状況を把握している薬剤師が連携して情報共有することであり、そのためにも患者さん自身もご自分が受けている治療の内容、病態をきちんと認識しておくことが必要です。



 

佐賀県歯科医師会 地域保健部

地域保健委員会 委員長 古賀 真

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