第9回:口腔がんって何?
令和01年11月11日
お口のがん・・・「口腔がん」って何?
日本では年間約7,000人が口腔がんに罹患し、このままでいけば、10年後には12,000人以上が罹患するといわれています。
国を挙げてがん対策に取り組んでいるアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどの先進諸国では、早期発見、早期治療を徹底することで、罹患率は変わらず高いものの死亡率は減少傾向にありますが、日本のみが逆行し、約3,000人もの方が死亡しているとされています。
「口腔がん」はできる場所によって『舌がん』・『歯肉がん』・『口腔底がん』・『頬粘膜がん』・『口蓋がん』・『口唇がん』に分類されます。部位別では『舌がん』が最も多く、口腔がんの約6割を占め、次いで『歯肉がん』が2割弱を占めます。発生頻度は、がん全体の1〜3%程度と多くはないものの、進行するまで放置されてしまうケースが多いのが現状です。
口腔がんの5年生存率は60~80%と言われています。初期症状のうちに発見すれば簡単な治療で治すことができ、後遺症もほとんどありませんが、進行した口腔がんでは、手術により舌やあごの骨を切除してしまったり顔が変形したりすることがあるため、日常の生活に大きな支障を残すことになります。
「口腔がん」の主な原因、最大のリスク要因は、喫煙です。喫煙者の口腔がん発生率は非喫煙者に比べ約7倍も高く、死亡率は約4倍も高いと言われています。WHOも喫煙が引き起こす病気として、口腔がんをあげています。また、喫煙に次ぐリスク要因は飲酒です。特に50歳以上の男性で、毎日たばこを吸い、お酒も飲まれる方はよりリスクが高まりますのでご注意ください。その他、「お口の清掃不良」「むし歯の放置」「不適合な義歯などによる慢性的な刺激」などもリスク要因として挙げられます。つまり口腔がんの予防で大切なことは、かかりつけ歯科医を持って、定期的な診療を受けることです。それと同時にがんを寄せつけない生活習慣(タバコを吸わない、お酒を控えるなど)を心がけましょう。
セルフチェックで早期発見を!
□ 赤い部分がある
□ 白い部分がある
□ しこりや腫れなど肥大した部分がある
□ 口内炎が二週間たっても治らない
□ 出血する部分がある
□ 抜歯後、治らない状態が続く
□ 痛みや腫れで入れ歯が合わない・違和感がある
□ 原因不明の歯のぐらつきが続いている
□ 頬や舌が動かしづらい
□ 話しにくい
□ 口の中に痛い部分がある
□ 慢性的なのどの痛み
□ 首の周りのリンパ節が腫れている
□ 噛むことや飲み込むことが困難
□ かれ声
以上、一つでも当てはまる方は、かかりつけの歯科医師に相談しましょう!
引用文献)「開業医だから発見できる口腔がん」 新谷悟著 クインテッセンス出版
「カラーアトラス口腔粘膜の病変」 榎本昭二・作田正義・南雲正男著 医歯薬出版
「口腔外科のレベルアップ&ヒント」 片倉朗編著 デンタルダイヤモンド社
- 第19回:う蝕予防とフッ化物配合歯磨剤
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- 第16回:歯周治療の必要性について
- 第15回:薬剤関連顎骨壊死について
- 第14回:歯科健診の重要性について
- 第13回:歯周病と歯並びの関係について
- 第12回:いわゆる「口内炎」について
- 第11回:加齢と歯・口腔周囲組織の変化について
- 第10回:喫煙と口腔内の病気の関係性について
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- 第7回:歯周病の2大危険因子「糖尿病」と「喫煙」について
- 第6回:歯周病の治療について知ろう!
- 第5回:歯周病と全身の関わりを知ろう!
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