第28回 周術期等口腔管理について
令和07年08月05日
第28回
周術期等口腔管理について超高齢化社会の時代、国民の2人に1人は一生のうちにがんと診断されるといわれています。また、心臓病やひざ・腰・股関節などの疾患、骨粗鬆症、骨折、リウマチなどのリスクも高まります。これらの疾患で全身麻酔による手術や薬による治療、放射線療法などを受ける際、治療前後にお口のケアに努めることで有効性、安全性が高まることがわかってきました。このような口腔管理を行うには、病院の主治医(医師)からの依頼を受け、治療前後に歯科医師、歯科衛生士が歯周病やむし歯の治療、それに加えお口のケア(口腔ケア)を行うことがきわめて重要です。
「がん対策基本法」などに基づき、診療報酬に「周術期等口腔機能管理」が新設されました。周術期等口腔機能管理の「周術期」というのは、手術が決定してから退院までの期間を指します。周術期に「等」という文字が付けられていることが示すように、手術だけでなく化学療法などを含めた包括的な治療の前後と考えてよいでしょう。「口腔機能管理」は、歯周病やむし歯の治療、口腔ケアのことと捉えてください。
周術期等口腔機能管理は、歯科のある総合病院や大学病院では院内の医科医師と歯科医師が連携して行う場合と、徳島県の現状においては、「地域のかかりつけ歯科医院」が連携して行うケースも多数あります。全身麻酔下での手術や化学療法、放射線治療を受ける際には必須の対策といえますが、手術日までの限られた期間のなかで十分な口腔管理を行う時間が取れないことも少なくありません。
このため、日頃から「かかりつけ歯科医院」をつくり、定期的に受診して口腔管理を徹底し、ご自身でも日常、適切な口腔ケアに努めることをお勧めします。
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」(徳島県) |
徳島県歯科医師会 副会長 山口貴功 |
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