令和02年02月21日
昨年のラグビーワールドカップにおける、日本チームの活躍に感動された方も多いことと思います。にわかファンを巻き込み、ワンチームで戦う姿に、現在もラグビーブームが継続中です。
ラグビーはマウスガードの着用が義務化されており、スポーツ歯科との関連が深い競技です。今年はオリンピック・パラリンピックが56年ぶりに東京で開催される年でもあるので、スポーツ歯科の現状についてお話しいたします。
スポーツ歯科の起源はマウスガードで、1925年に歯科医師がボクシング選手のためにカスタムメイドしたのが日本での始まりです。その後日本の歯科診療にマウスガードがなかなか定着せず、廉価で手軽なスポーツ用品メーカーの既製品に移っていましたが、最近ようやく「マウスガードは歯科で作る」という本来の姿に戻ってきました。
マウスガードは歯や口腔の外傷予防が一番の目的で、ボクシング、ラグビー、空手などの他に、数多くの競技で装着の義務化や推奨がなされています。また、スポーツ選手は力を出す時に歯を食いしばっており、これをスポーツクレンチングと言いますが、基本的にしっかり噛むと全身の筋肉にポジティブな効果が生まれ、力が出せることがわかっています。現在はその効果の延長線上で、マウスガードを入れたらどうなるかといった研究が盛んに行われているようです。
日本のスポーツ強化指定選手には1987年から歯科のメディカルチェックが義務付けされていて、怪我や故障のリスクが一般の方々より高いので、常日頃から定期的に口腔の健康管理をし、歯のコンディションを整えて大会に向かうことを指導されているとのことです。
また、インタビューの時などに矯正装置を付けた選手たちにお気づきのことと思いますが、矯正をするジュニア選手やトップアスリートが増えており、歯や口腔に対する理解が高まっている証拠だと感じます。
咬合と運動機能の関わりは密接で、バランス機能にも影響を及ぼし得るとのデータもあるので、スポーツ選手こそ歯や咬合を整えておくことが大切で、ジュニア期から選手たちの口周りの疾患や外傷・障害のリスクを軽減し、ベースである歯列や咬合のコンディションを整えて、トップ期に上げていくことが重要です。
東京オリンピック・パラリンピック日本選手団の大活躍を楽しみにしたいと思います。
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」 |
一般社団法人 徳島県歯科医師会 常務理事 笠原 信治 先生 |