第30回 成人の歯周病検診が約10年ぶりに改定されます ~歯と口の健康アップと機能の維持を自らの気づきからめざしていただくために~
令和08年02月20日
自治体や民間企業、健康保険組合等が行う成人の歯周病検診(節目検診)の内容が、厚労省から2024年5月に示された「歯周病検診マニュアル2023」に沿って、約10年ぶりとなりますが、令和8年度から改定されます。受診される方にとっては、少し問診の設問が増えたかな、根の面のむし歯について指摘や説明があるくらいの変化かもしれませんが、次に示すような背景から、非常に重要な改定といえます。
成人期の歯周病は国民病ともいえる高い有病者率を示し、糖尿病をはじめとする全身疾患や生活習慣と関連が深い疾患とされています。このことから、歯周病検診を通じて生活習慣や全身疾患の状況を踏まえた歯と口の保健指導により、受診された方々が日常的な歯周病の予防に努めていただくことや、歯周病の早期発見と治療につなげることを目的としています。
今回の「歯周病検診マニュアル2023」は高齢化の進行、健康寿命延伸政策の本格化といった社会背景の変化に加えて、若年の成人から歯周病が確認されているといった疫学的なエビデンスの蓄積、第三次健康日本21などの保健政策との整合性などを考慮したものとなっています。また、国を挙げて推進が図られているPHR(Personal Health Record)のような健康・医療情報の有効利用に向けた動きも関連しています。
以前の成人歯周病歯科検診の対象者は40歳以上とされていましたが、20歳・30歳も含めることで成人期全体を視野に入れており、目的として早期発見だけではなく、少し若年からの発症予防を想定しています。また検診後の、かかりつけ歯科医院での継続的な管理をねらい、自己管理の行動変容の起点となるように位置づけをされているといえるでしょう。
特に問診票部分では、「固いものが噛みにくくなりましたか」、「むせますか」といったお口の機能低下についての質問、「時間をかけてよく咬んで食事をしていますか」のような早食いとメタボリックシンドロームにも関連するような質問が追加されており、高齢期の口腔機能の衰え(オーラルフレイル)や歯周病の発症にかかわる将来のリスクを見るようなチェック票になっています。
このように、新たなコンセプトでアップデートされた自治体や職場で実施される歯周病検診を多くの方々に積極的に受けていただき、歯とお口の健康アップ・機能維持をめざしていだきたいと思います。
徳島県歯科医師会
常務理事 下村学
「よ坊さん」(徳島県)