第16回 災害時の口腔ケア ~口腔ケアで命を守ろう~
令和04年08月26日
この30年間で起こりうる南海トラフ地震、まずはご自身の安全を確保することが大事です。
大規模災害時においては、長期の避難所生活を余儀なくされる可能性が高くなります。
阪神淡路大震災では、震災関連死の約4分の1の死因が肺炎、熊本地震においても、約3割が呼吸器系の病気でその大半が肺炎でした。
歯・口・入れ歯の清掃がおろそかになり、特に高齢者では、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引き起こしやすくなることが原因の一つと考えられています。
災害時には、断水で水を使えない、口腔ケア用品の不足、入れ歯を外す場所の環境が整っていない等で口腔内の状態が悪化します。
不衛生な状態が続くと、むし歯や歯周病、風邪やインフルエンザ等の感染症、肺炎などのリスクが高まります。
こうしたトラブルを防ぐためにも口腔ケアが重要になってきます。
非常時の口腔ケアとしては
①水がない場合でも、シュガーレスガムやマウスウォッシュを使って口の中を手入れしましょう。
②唾液が少ない時は、口や舌を動かす体操をしたり、顎の下、頬をマッサージしたり唾液を出すようにしましょう。
③歯ブラシがない時は、濡れたタオルやウエットティッシュを使って出来るだけ歯の汚れを取ってください。少量の水やお茶でブクブクうがいしましょう。
④入れ歯は、水がなければ、ウエットティッシュ等を使って汚れを取ってください。
⑤防災グッズに歯ブラシ等の口腔ケアグッズも忘れずに準備しましょう。
避難所には、歯科医師や歯科衛生士が巡回しています。困ったことがあれば声をかけてください。
震災で無事だった命を避難所生活で失うことのないようしっかり口腔ケアしましょう。
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」 |
徳島県歯科医師会 理事 吉岡直人 先生 |
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