第18回 口腔がんについて
令和05年02月27日
第18回
口腔がんについて身体の他のところと同じように、お口の中にもがんはできます。唇や歯ぐき、舌、口蓋(上あごの硬い部分)など歯以外の全ての部分にがんができる可能性があります。
口内炎は基本的に数日すれば自然に治ります。しかし目安として3週間以上治らない口内炎があれば、がんの可能性があります。また口内炎は腫れてくることはあまりありませんが、がんは腫れてくる場合が多いです。口内炎以外でも、急に歯ぐきが腫れてきて入れ歯が合わなくなった、急に歯がぐらぐらしだした等の症状があれば、がんの可能性があります。ただし細菌感染による急性炎症の可能性もありますので、まずは、かかりつけの歯科医院を受診されることをお勧めいたします。
口の中のがんの最も多い原因と考えられるのは喫煙です。その他、がんの原因としては飲酒、入れ歯や歯の被せ物による刺激、遺伝などがあります。
がんは早期発見早期治療が重要です。がんの疑いがある場合は、大学病院などに紹介します。大学病院に紹介しましょうと言われても、がんと確定したわけではありません。大学病院を受診した結果、がんではなかった場合もあります。必要な検査をおこない、正確な診断を得ることが最も重要ですので、あまり心配はされずに紹介された病院を受診してください。
がんの治療は大きく分けると、外科的手術、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つがあります。それぞれを併用することもあります。放射線療法や化学療法をおこなってがんを小さくして手術で取る場合、また手術後に放射線療法や化学療法をおこなうことがあります。
放射線療法や化学療法では、副作用として口内炎などの症状が現れることがあります。ほとんどの化学療法中は、骨髄抑制といって、細菌に対する体の免疫力が低下する副作用があります。がん治療中の吐き気やだるさなどで口の清掃が難しくなり口の細菌が増えることと重なると、口の感染症が非常に起こりやすくなります。また免疫力が低下した時の口の感染は、全身に広がってしまう危険もあります。
いずれにしても、患者さんの症状や希望について、ご本人やご家族とよく相談させていただいて、治療方針を決定いたします。
何か心配なことがありましたら、かかりつけ歯科医院に相談してください。
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」 |
徳島県歯科医師会 理事 飛梅悟 先生 |
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