第21回 妊娠中は歯科治療できるの?
令和05年10月31日
第21回
妊娠中は歯科治療できるの?
妊娠中は口内環境が変化しやすく歯や歯肉のトラブルが起こりやすい時期です。
女性ホルモンの増加により歯周病菌の動きが活発になり、また歯肉の免疫力も低下しているため妊娠期特有の歯肉炎を発症しやすくなります。
さらに唾液の出てくる量も低下するため、お口の中が乾きやすくなることで虫歯になりやすいため注意してください。
母親にむし歯ありの子供と母親にむし歯なしの子供が2歳になった時にむし歯になってしまう確率は75.9%と24.1%の差が出る。というデータもあります。
妊娠する前に虫歯治療を行い、メンテナンスを行うことが重要です。
妊娠初期につわりのひどい妊婦さんは吐き気により、しっかり磨くことが難しい状況になりやすく、また、すっぱいものを欲する方も多くお口の中が酸性に傾くことでむし歯の危険性が増します。
歯ブラシが舌にあたると吐き気が起こりやすいためブラシの小さい子供用の歯ブラシを使用して舌を刺激しない様に磨いてみてください。また、臭いの強い歯磨き粉も避けた方が良いでしょう。
歯磨きの代わりにはなりませんが、体調が悪くてどうしても歯磨きが出来ない場合は、補助的に洗口液を使用することも良いと思います。
洗口液には殺菌成分やフッ素を配合しているもの、歯肉の炎症をおさえて歯周病を予防するもの等、用途に合わせ色々な製品があります。
歯科治療は妊娠中期(安定期といわれている4か月~7か月)に行うのが原則となりますが
痛くて眠れない。食べれない。となるとお母さんの身体にも赤ちゃんの身体にもよくありませんので、場合によっては妊娠初期や妊娠後期に治療しなければいけなくなるケースもあります。そうならないためにも普段からの予防、お口の管理がとても大切です。
御自身のために!!赤ちゃんのために!!困ってからではなく、普段から歯科検診やクリーニングを受けてトラブルを予防し、トラブルになっても、すぐに相談できる歯医者さん、歯科衛生士さんを持つことをお勧めします。
「どんな歯ブラシを使ったらいいの?」「どんな磨き方をしたらいいの?」「洗口液は何をつかったらいいの?」「歯磨き粉は使った方がいいの?」等々相談に行ってみて下さい。自分に合った口腔ケアを見つけてみませんか?
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」 |
徳島県歯科医師会 理事 原 亮 先生 |
- 第25回 歯科用金属アレルギーとは
- 第24回 気になる子どもの『お口ポカン』
- 第23回 上手に歯医者さんにかかりましょう
- 第22回 口腔内不定愁訴(こうくうないふていしゅうそ)について
- 第20回 健康と健口!体の不思議
- 第19回 子供のむし歯の特徴
- 第18回 口腔がんについて
- 第17回 歯科医院でお口の健康診断を受けていますか?
- 第16回 災害時の口腔ケア ~口腔ケアで命を守ろう~
- 第15回 周術期の誤嚥性肺炎の予防
- 第14回 卒乳のタイミングと方法
- 第13回 自分のために 歯科医院でブラッシング指導を受けてみましょう
- 第12回 マイナス1歳からのむし歯予防
- 第11回 訪問歯科診療について
- 第10回 「小児における口腔機能発達不全」とは
- 第9回 8020(ハチマルニイマル)と根面う蝕
- 第8回 withコロナと歯科治療
- 第7回 唾液の力を知っていますか
- 第6回 オリンピックイヤー 注目されるスポーツ歯科
- 第5回 最近の子どものむし歯状況
- 第4回 歯周病と糖尿病
- 第3回 周術期の医科歯科連携
- 第2回 歯周病と全身疾患
- 第1回 誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア