第12回 マイナス1歳からのむし歯予防
令和03年08月24日
| マイナス1歳※からのむし歯予防
歯科口腔保健の推進に関する法律が平成23年8月に公布・施行されてから、全国の自治体における歯科保健に関する条例等が整備され、我々歯科医師も歯科医療のみならず歯科保健にかかわることが期待されています。徳島県においても、「マイナス1歳からのむし歯予防」と称して、産科におけるプレママ・パパ教室に出向いて、歯科保健の講演等を行う機会が増えています。
歯科医師が担当する講演では、実際の乳幼児から成人までの口腔内写真等を示しながら、成長発育の過程について説明をします。乳歯の萌出時期から永久歯の交換時期までを説明しながら、少し長い目でみた、子どもの健康管理についてお話しするようにしています。プレママ教室ではパパだけでなくご兄弟も参加されていることもあり、こちらから質問をしながら、家族の皆さんの記憶に残る講演を心がけています。
むし歯予防に関しては、まず、原因菌のミュータンス菌は乳臼歯が生える1から2歳頃に口腔内に定着しやすくなること、むし歯の原因となる4つの要素、「歯質」「むし歯菌」「糖質」「時間」について説明します。
次に、赤ちゃんの歯ブラシデビューのポイントについてのお話をします。歯ブラシの取り扱いに関しては、歯科衛生士が詳しく説明をします。栄養に関すること等についても、妊娠中のバランスの取れた食事が赤ちゃんの丈夫な歯をつくることや、子どもの歯と口腔の機能発達と食生活についても触れながら、栄養面だけではなく、噛むことの重要性についても解説します。
妊婦さんの口腔の健康管理については、進行した歯周病に罹患した妊婦さんの早産リスクに加え、歯周病と関連する糖尿病や喫煙についても話題とします。妊娠中の歯科治療については安定期の受診が望ましいこともお伝えしています。
授乳とむし歯の関連について、授乳回数と授乳期間が長いこと、寝るときの授乳などがむし歯発生リスクを高めることをお話しする一方、個人差があることについても説明し、気長に構えた保育姿勢をお勧めしています。また、はじめての口腔清掃としての乳前歯のケアの話、むし歯予防として、生涯を通じたフッ化物応用についても解説しています。
産科の医療現場と歯科医師、歯科衛生士が協力をして、生まれてくる赤ちゃんを中心とした家族の皆さんの健康リテラシーの向上に役立つことが、我々の大きなモチベーションとなっており、歯科医療の現場にもこれらの経験が生かされていると感じています。
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」 |
一般社団法人 徳島県歯科医師会 常務理事 下村 学 先生 |
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