第5回 最近の子どものむし歯状況
令和01年11月20日
最近の子どものむし歯状況
近年、健康増進法の制定に伴い、「21世紀における国民健康作り運動(健康日本21)」により、社会全体で国民一人一人の健康寿命を伸ばすための様々なサポートや取り組みが行われています。
歯科に関しても、いろんな目標や基準値が設定されていますが、子どものむし歯に関する目標としては次の2つがあります。
1)3歳児でむし歯のない者の割合が80%以上の都道府県が23都道府県以上
2)12歳児の一人平均むし歯の数が1.0本未満の都道府県が28都道府県以上
まず、1)に関して全国的なデータから申し上げると、平成18年で3歳児でむし歯のない者の割合は73.0%だったのが、平成28年では84.2%まで改善し、それに伴って該当する都道府県の数も6都道府県(平成21年)から26都道府県(平成28年)と大幅に増加しています。
また、2)に関しては、全国平均が平成18年で12歳児の一人平均むし歯の数が4.30本だったのが、平成28年では0.84本と改善し、それに伴って該当する都道府県の数も7都道府県(平成23年)から28都道府県(平成28年)と、こちらも大幅に増加しています。つまり1)、2)ともにすでに目標をクリアし、現在は令和4年までには全都道府県が基準を達成できるよう、さらなる運動を推進しているところです。
ひと昔前までは、子どものむし歯は一人あたり5〜6本ぐらいあるのは当たり前だったのが、いまや「3歳児でむし歯がある子は、全体の1/5以下」「小学生のむし歯の数は一人あたり1本あるかないか」というところまで良くなっています。これらの要因として、幼少期における親のもつ口腔ケアの意識向上ならびに管理の徹底などがあげられ、学童期においては学校現場における口腔ケアの履行(歯みがき、フッ素洗口等)などがあげられます。
しかし、これらのデータは地域差があり、概ね「都会」(愛知県、東京都等)が、「地方」(青森県、沖縄県等)よりもよいデータとなっています。これは地域による食生活、生活習慣のちがい、また口腔ケアを行うに際し専門職のマンパワー不足などが原因と考えられます。
徳島県においても、「3歳児でむし歯のない者の割合」が64.4%(平成18年)から76.4%(平成28年)へ、「12歳児の一人平均むし歯の数」が2.0本(平成18年)から1.4本(平成28年)へ、ともに改善しているものの、全国平均より数値的には劣っています。
徳島県は、典型的な「地方」ではありますが、他県に比べて歯科医師ならびに歯科衛生士の数も充足しているので、家庭内や学校現場において県や自治体、大学等が歯科医師会と連携して、専門職としての知識や技術を還元できるシステムを構築できれば、さらによい結果につながるのではないかと思っています。
【数値は、厚生労働省母子保健課・歯科保健課調査、文部科学省学校歯科保健調査参照】
日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」 |
一般社団法人 徳島県歯科医師会 専務理事 白神 直之 先生 |
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