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徳島支部

第2回 歯周病と全身疾患


歯科健康コラム

第2回

歯周病と全身疾患

 

 口腔内には、300~700種類の微生物が存在し、歯磨き上手な人でも1,000~2,000個、ほとんど磨かない人では1兆個もの細菌がすみついています。

 また、口腔内にはむし歯菌、歯周病原性菌、カンジダ菌、アメーバなどの微生物が存在し、これらの微生物が増殖し歯面に付着したものがバイオフィルムです。
 このバイオフィルムは強い病原性を持っており、これらが産生する毒素や酵素により歯周組織が破壊されていく病気が歯周病です。

 最近、この歯周病の存在がさまざまな生活習慣病をはじめとする全身疾患の病態に悪影響を与えることが報告されています。
 つまり、歯面に付着した細菌が歯と歯肉の境界にある溝(歯周ポケット)の中に侵入し、炎症を起こしてそこから細菌が体内に侵入することでさまざまな全身疾患を増悪させることにつながってくるのです。

 

〈肥満・糖尿病と歯周病〉

 肥満者の内臓脂肪においてTNF-αという炎症性サイトカインが高濃度に作られ、これがインスリン抵抗性を亢進するため糖尿病を悪化させることが分かっています。

 一方、歯周病原性菌による慢性炎症においてもTNF-αが産生され、糖尿病を悪化させることが分かっています。さらに糖尿病による免疫力低下が歯周病を悪化させるのです。

 

〈循環障害・心疾患・動脈硬化と歯周病〉

 歯周病原性菌が歯肉の血管から侵入したり、歯周病による慢性炎症が作り出す物質が、血管への脂肪沈着を引き起こし動脈硬化を促進させます。

 さらに慢性炎症は血管凝固因子を放出することにより、血栓を作りやすくします。そのため脳梗塞、心筋梗塞のリスクが上がってきます。

 

〈誤嚥性肺炎と歯周病〉

 誤嚥性肺炎は、加齢や障害に伴い、徐々に嚥下機能が低下し、食物や微生物が誤って気管に入ってしまうことにより引き起こされる肺炎です。
 誤嚥性肺炎の方の肺から多くの歯周病原性菌が観察されています。

 

〈早産・低体重児出産と歯周病〉

 歯周病による慢性炎症の結果、血液中の炎症物質の濃度が高くなります。
 この物質は、分娩時の子宮収縮を起こす物質に類似しているため、妊娠満期に至る前に子宮収縮が引き起こされ、早産が起こると考えられています。

 

 現在、他にも骨粗鬆症、関節炎や腎炎、バージャー病、認知障害などが、歯周病との関連の可能性を示唆されています。

 生涯を通じてかかりつけの医院、歯科医院を持ち、ご自身の健康管理に役立てましょう。

  

 

    よ坊さん

 日本歯科医師会PRキャラクター「よ坊さん」

一般社団法人 徳島県歯科医師会

副会長   根東 正樹 先生

 
 
 

 

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