CKDシリーズ③予防・悪化防止のための生活習慣改善
平成31年03月05日
こんにちは!協会けんぽ奈良支部の保健師と管理栄養士です。
春の訪れが感じられる季節になりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
前回までのシリーズで、CKD(慢性腎臓病)のことやCKDと関連する疾患についてご紹介しました。
今回はCKDシリーズの最終回として、『CKDの予防・悪化防止のための生活習慣改善』についてお伝えします。
あなたの生活習慣を振り返って心当たりはありませんか?
早速ですが、次のうちあなたの生活習慣であてはまるものにチェック☑してみてください。
□好きなものをお腹いっぱい食べる
□麺類などはついつい汁まで飲み干してしまう
□お酒の量は減らせない
□酒のつまみは肉や魚が中心で味が濃いものほどおいしい
□甘いものはやめられない
□休日はだいたい家でゴロゴロ
□歩くなんて面倒・・・ついエレベーターやエスカレ-タ-を使ってしまう
□夜更かしで睡眠不足
□この一服がやめられない
いくつあてはまりましたか? ひとつでも当てはまった方は注意が必要です。
上記のような生活習慣とともに、血圧や血糖が高い、肥満のある方はさらに腎機能が悪化しやすいので要注意です!
今からでも遅くありません。取り返しがつかなくなる前に、できることから良くない生活習慣を改めていきましょう!
今日からはじめる腎臓に優しい7つの生活習慣
❶まずは減塩から!
塩分をとりすぎると、腎臓は尿量を増やして体外へ排泄しようと働くため、腎臓に負担がかかります。
また、皆様ご存知の通り、食塩のとりすぎは高血圧を招きます。
前回の健康コラムでご説明したとおり、腎機能の悪化を遅らせるためには血圧の管理がとても重要になります。(→こちら)
日本人の食事摂取基準(2015年度版)では、塩分の目標摂取量は男性8g未満/日、女性は7g未満/日が目安とされています(高血圧がある場合は6g未満)。
しかし実際は、男性10.8g/日、女性9.2g/日とっているという結果がでています(平成28年度国民健康・栄養調査)。男女とも2g以上多くとっていますね!
では、食事から取り組んでいただける減塩のヒントをご紹介します。
◆工夫しだいでうす味でもおいしく!
ただ塩分を減らすとなるとおいしさが半減してしまいます。
そこで、塩分の代わりに香辛料(カレー粉やこしょう、唐辛子など)・酸味(レモンやゆず、酢など)・うま味(かつお節や煮干しなどでしっかりだしをとる)・ 薬味(ねぎやしょうが、みょうがなど)を加えることで、うす味でもおいしくいただくことができます。
ぜひお試しください。
◆外食や加工食品の見えない塩分に気をつけて!
ラーメンやうどんなどの麺類はもちろん、カレーやお寿司、あんかけ焼きそば、麻婆豆腐など、とろみのある料理も塩分が多く、要注意です。
また、ちくわやかまぼこなどの加工食品にも多くの塩分が使われています。
知らない間に塩分過多になっている可能性があります。
最近はコンビニやスーパーの食品にも塩分量の表示がありますし、飲食店でもメニューに栄養価表示がされているお店が増えてきています。
『いつもの』を注文する前に一度、表示をチェックしてみてはいかがでしょうか。
❷タンパク質は適量に!
タンパク質をとりすぎると老廃物の量が増え、腎臓に負担がかかります。
動物性、植物性にかかわらず、タンパク質のとりすぎには注意しましょう。
1食に何種類もタンパク質の多い食品が重ならないようにしましょう。
◆タンパク質の多い食品
肉、魚介類、牛乳・乳製品、卵、大豆・大豆製品 など
❸肥満の解消を!
体重オーバーの人はまず減量が必要です。
減量すると血圧や血糖の数値も改善し、腎臓も守ることができます。
まずは今の体重マイナス4%を目指して、減量にチャレンジしましょう!
◆キ-ワ-ドは腹八分目
まずは、食事をよく噛んで、腹八分目をこころがけましょう。
野菜から食べると血糖の上昇が緩やかになり、満腹感を得やすくなるのでオススメです。
◆糖分の摂取量をチェック
空腹でもないのになんとなく口にしているお菓子や甘い飲み物はありませんか?
全てやめなくても、楽しみのおやつは1種類にするなどの工夫から始めるのもGoodです!
お菓子やパンを買うときも、裏面の成分表示を見てチェックしてみましょう。
◆脂質の摂りすぎにも注意
脂分の多い食品を控えるのももちろんですが、調理方法や食材の選び方でも脂質のとりすぎを防げます。
調理方法・・・脂質量 多←―――――――――――――→少
揚げる 炒める 焼く 蒸す ゆでる
食材選び・・・牛ロース→牛もも肉にチェンジ! エネルギーは半分にカット!
マヨネーズ→ノンオイルドレッシングにチェンジ! エネルギーは1/4にカット!
❹お酒は適量、おつまみ選びも気を付けて!
◆1日の飲酒量の目安
ビ-ル中ビンなら1本、日本酒なら1合、ウイスキ-ダブルなら1杯、
ワイングラスなら2杯弱、焼酎ぐい飲みなら2杯弱
※女性や高齢者はこの半量が適量です。
◆週に2回は休肝日を!
肝機能の回復のためには2〜3日飲んだら1日休むことが必要です。週2日の休肝日が目安です。
いつまでもおいしくお酒が飲めるように肝臓もいたわってあげましょう。
◆控えたいおつまみ
食塩量とタンパク質が多いもの
食塩量 多・・・かまぼこなどの練り製品、ハム、ウインナー、ベーコン、チーズ、餃子、ピザ など
タンパク質 多・・・焼き鳥、唐揚げ、焼き魚、エビフライ など
◆オススメのおつまみ
野菜やきのこ、海藻類のもの
たとえば・・・もずく酢、野菜サラダ、野菜の煮物、野菜スティック、青菜のお浸し、焼ききのこなど
(※もちろんマヨネーズやドレッシングなど調味料の使いすぎには注意です)
❺適度な運動を!
ウォーキングなどの有酸素運動は、減量につながるとともに、高血圧や高血糖の改善にも効果的です。
まったく運動習慣がなくても、毎日10分からでも大丈夫です。何か始めてはいかがでしょうか?
ただし、筋肉痛が起こるような強い運動は要注意!筋肉細胞が壊れると血中の老廃物が増えるため、腎臓に負担がかかります。
季節に関わらず、運動するときは水分補給も忘れずに!
❻良いこと尽くめの禁煙をしよう
タバコを吸う本数が多いほど腎機能が低下し、CKDの発症や進行のリスクを高めます。
禁煙は「やってみよう」と思った時が絶好のチャンス!
禁煙すると、病気の予防だけでなく、ごはんがおいしくなる、息切れしなくなるなど健康を実感できることもたくさんあります。
ぜひ、禁煙を!!
❼定期的な健診受診を!!
繰り返しになりますが、CKDは自覚症状に乏しく、症状が出てきた頃にはかなり重症化している危険性があります。
とにかく定期的に健診を受診して、健康状態をチェックすることが一番の予防になります。
年に1回の健診と、必要があれば再検査も必ず受けてくださいね!!
最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでも生活習慣を振り返るきっかけになれば幸いです。
あなたが気づかないところで腎臓は毎日休まず働いてくれています。腎臓は腰の少し上のあたりにある小さな臓器です。
あなたの元気のためにがんばっている腎臓のことを思って生活習慣改善を始めてみましょう!