第3回 更年期の女性に見られる手指の障害
令和04年01月06日
いわゆる更年期(大体45〜55歳)の女性で手指の痛みで悩んでいる方は少なくありません。
最も多い症状はヘバーデン結節という指の一番先の関節の痛みです(手のしびれや腱鞘炎も更年期の手の症状のひとつです)。
最初は少し気になる程度の軽微な痛みから始まり、進行すると変形し、これは全ての指に生じます。変形した関節周囲に水膨れのような嚢腫ができることもあります。
さらに先から2番目の関節にも生じることがあり、ブシャール結節と呼ばれます。
なかなか効果の優れた治療法がなく、負担のかかる手作業を控えること、腫れや痛みが強い場合は鎮痛剤の内服、外用薬使用、関節内注射、衝撃を防ぐためのテーピングや変形矯正のための装具など対症療法を行います。変形、痛みが強い場合は関節形成術、嚢腫の摘出術など手術療法を用いることもあります。
手指の関節痛には関節リウマチなど別の病気もありますので症状がある場合には整形外科医、リウマチ医に相談することも大切です。
次に近年よく用いられるようになっている代替治療のお話をします。
更年期の手の症状は女性ホルモンであるエストロゲンの低下の影響を受けています。大豆イソラフラボンの一種で腸内細菌に代謝されてできるエクオールという物質に女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用があり、手指関節の腫れや痛みに効果があることがわかってきました。
日本人でエクオールを体内で作ることのできる方は5割程度で、作れていても少量しかできない方も多いと言われています。大豆食品、エクオール摂取が手指の症状を緩和する可能性がありますので症状が持続している方は摂取を検討してみるのもよいでしょう。
摂取に際してはまず体内のエクオールの量を調べること(市販の尿検査で可能)をお勧めします。
名越整形外科医院 院長 名越 充