第4回 喫煙と目~喫煙が目に与える影響とは?~
令和03年08月23日
「目の健康情報について」をテーマにコラムをお届けしています。
今回は「喫煙と目」についてのお話です。
喫煙が体に悪いことは、皆さんご存知でしょう。目も勿論例外ではありません。
目は非常に繊細な臓器で、ニコチンによる血管収縮や、栄養障害、酸素不足の影響を受けやすく、受けた障害は自覚症状に結びつきやすいです。毛細血管や神経膜である網膜の視細胞・神経線維の障害は二度と戻りません。
緑内障 日本における重度視覚障害の原因疾患第1位で、現在も近未来も、最も治せない失明原因でしょう。喫煙は緑内障性神経障害の進行を加速します。
白内障 1日20本以上の喫煙で2−3倍リスクが上がります。
加齢黄斑変性 日本における重度視覚障害の原因疾患第4位です。50歳以上の約1%が発症しますが、喫煙者は非喫煙者の1.7-3.3倍かかりやすく、1日20本以上の喫煙者が5年後に黄斑変性症を発症する確率は5.2%とする報告もあります。
糖尿病性網膜症 血管障害を進行させ、虚血性障害が進みます。
網膜静脈閉塞症・網膜動脈閉塞症 「目に起こる脳梗塞」と言えば解りやすいでしょうか。高血圧や喫煙で発症率が上がります。
甲状腺眼症 発症や再発を誘発し、抗甲状腺薬の効きを悪くします。
「加熱式たばこ」は「たばこ」です!
たばこ葉などを、燃焼させずに電気的に加熱し、エアロゾル(霧状)化したニコチンと、加熱によって発生した化学物質を吸入する、れっきとした「たばこ製品」(たばこ税がかかる)です。物の燃焼時に発生するタールは9割低減できますが、ニコチン・重金属・ホルムアルデヒドなどの有害物質は十分に含まれます。またスモークレスとはいえ、喫煙者が吐くエアロゾル中にもニコチンなどの有害物質は含まれており、受動喫煙の原因になります。発売開始からの年月が浅くて長期使用に伴う健康被害が明らかになっていないだけで、人体への影響は未知数でしょう。
これに対して「電子たばこ」(VAPE)は、日本ではノンニコチン・ノンタールしか認められておらず、「アロマ機器」ともいえますが、喫煙動作からふと「タバコを1本だけ」という動作に結びつきやすく、お勧めできません。
喫煙は健康にも目にも最大の敵です。是非、やめましょう!
コラム執筆 加藤 睦子
岡山赤十字病院 眼科
岡山県眼科医会・広報担当
岡山県眼科医会URLはこちら↓
(http://www.okayama.med.or.jp/gankaikai/)