急性アルコール中毒とは?
年末年始は、忘年会や新年会などがあり飲酒の機会が増えるため、アルコール飲料の飲み方に注意が必要です。
短時間で大量のアルコールを飲むと、血中アルコール濃度が急上昇して、脳や臓器に悪影響を及ぼします。症状は吐き気やおう吐などの軽いものから、昏睡や呼吸停止となり死に至る重度のケースもあります。
アルコール量と症状の目安
1日のアルコール摂取量は約20gが適量です。体調や体格によっても影響は異なりますが、多量に飲酒すると判断力や運動機能が低下します。
飲酒後に顔が赤くなるタイプの人は、アルコール分解速度が遅い体質です。体内のアルコール濃度が下がりにくいため、飲む量に注意しましょう。中でも若年者は自分の限界がわからないことがあり、より注意が必要です。
1日のお酒の量の目安(男性)
ビール(5度)中びん1本 |
500ml |
日本酒(15度)1合 |
180ml |
焼酎(25度)0.6合 |
約110ml |
ウイスキー(43度)ダブル1杯 |
60ml |
ワイン(14度)1/4本 |
約180ml |
缶チューハイ(5度)ロング缶 1缶 |
500ml |
※女性と高齢者は、男性の半量程度
アルコールを飲んだときの症状
|
酒量 |
酔いの状態 |
爽快(そうかい)期 |
ビール中びん(~1本) 日本酒(~1合) ウイスキー・シングル(~2杯) |
皮膚が赤くなる 陽気になる 判断力が少しにぶる |
ほろ酔い期 |
ビール中びん(1~2本) 日本酒(1~2合) ウイスキー・シングル(3杯) |
ほろ酔い気分になる 感情的になる 体温が上がる 脈が速くなる 手の動きが活発になる |
酩酊(めいてい)初期 |
ビール中びん(3本) 日本酒(3合) ウイスキー・ダブル(3杯) |
気が大きくなる 大声でがなりたてる 怒りっぽくなる 立てばふらつく |
酩酊(めいてい)期 |
ビール中びん(4~6本) 日本酒(4~6合) ウイスキー・ダブル(5杯) |
千鳥足になる 何度も同じことをしゃべる 呼吸が速くなる 吐き気・おう吐がおこる |
泥酔(でいすい)期 |
ビール中びん(7~10本) 日本酒(7合~1升) ウイスキー・ボトル(1本) |
まともに立てない 意識がはっきりしない 支離滅裂になる |
昏睡(こんすい)期 |
ビール中びん(10本超) 日本酒(1升超) ウイスキー・ボトル(1本超) |
ゆり動かしても起きない 呼吸はゆっくりと深い |
※アルコールによる影響は個人差があります
飲めない体質の見分け方
アルコールを飲める体質なのかは個人差があり、遺伝的な要因が大きいです。摂取後に顔が赤くなる、動悸がする、頭痛や吐き気がするといった症状が出る場合、アルコールに弱いと判断できます。このような方は体質的にアルコールを飲めないことが多いです。
薬局で販売されているエタノールパッチテストで、自身の体質をある程度把握することができます。
アルコールの上手な飲み方
お酒と楽しく付き合うために、次のような工夫をしましょう。
- 自分の適量を知り、飲む量をコントロールしましょう。
- 脱水症状を防ぐ効果や二日酔いを軽減する効果があるため、ソフトドリンクや水を一緒に飲むようにしましょう。
- 空腹状態でお酒を飲むとアルコールの吸収が早まり、肝臓に負担がかかります。食事やおつまみと一緒に飲むようにしましょう。
- 様々な種類のお酒を飲むと、いろいろな味を楽しむうちに、どのくらい飲んだかがわかりにくくなります。飲みすぎに注意しましょう。
もし急性アルコール中毒が疑われたら
急性アルコール中毒が疑われる場合は、次のような対応が必要です。
- 患者を横向きに寝かせて嘔吐物による窒息を防ぐ。
- 毛布などで体を温め、低体温症を防ぐ。
- 呼吸を確認し、異常があれば心肺蘇生法を行う。
- 必要に応じて救急車を呼ぶ。
急性アルコール中毒を防ぐためのチェックリスト
以下の項目を見ながら、予防策を実践できているかチェックしてみましょう。
- 自分自身の体質、お酒の適量を知っていますか?
- アルコールを飲むときはお水などと一緒に飲むようにしていますか?
- 空腹の状態でお酒を飲んでいませんか?
- 睡眠不足や体調不良時には、酔いが早く回る事を知っていますか?
自分の適量以上に飲まない、一気飲みをしないなど、ルールを決めることが大切です。飲みすぎには注意して、楽しくお酒を飲みましょう。
(参考文献)
- 厚生労働省e-ヘルスネット:アルコール
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-001.html
- 国税局:テーマ02 「あなたはお酒が強い人?弱い人?」
- https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/seminar/h19/02/02.htm
監修医 長澤 将
東北大学医学部大学院修了後、石巻赤十字病院に勤務。
現在は、東北大学病院 腎高血圧内科 講師として勤務。