医療費データから「徳島」を見る Ⅱ
令和03年02月24日
協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとの医療費に基づいて設定されており、令和3年度の徳島支部の保険料率は、全国で7番目に高い10.29%です。
少子高齢化や医療の高度化により医療費が増加しており、徳島支部の医療費について一緒に考えてみたいと思います。徳島支部の一人あたりの医療費は高い状況が続いていますが、今回は、昨年から続くコロナ感染症がどう医療費に影響したか、令和元年度と令和2年度の4月から10月までの医療費と4月から11月までの健診のデータを用いて見てみたいと思います。
1.都道府県別加入者一人あたり医療費の状況(全国平均との差)(令和元年度) 【図-1】
【図-1】(注)医療費は社会保険診療報酬支払基金審査分(入院、通院、歯科、調剤)、「その他」は入院時食事療養費・生活療養費、訪問看護療養費、療養費、移送費に係るものを表す。
まずは、加入者一人あたりの医療費の状況を全国平均との差でみたグラフです。徳島支部の一人当たり医療費は、全国で5番目に高く、すべての診療種別で全国平均よりも高い状況となっています。
2.徳島支部一人あたり医療費の状況(令和元年度から令和2年度(4月~10月))
【図-2】 【図-3】
【図-2:一人あたり医療費(加入者)】
図-2の徳島支部の推移(棒グラフ)をみると、令和2年度は前年度に比べ特に4、5月は大幅に下回っています。全国平均(折れ線グラフ)をみても、同様の傾向が見られます。
【図-3:一人あたり医療費(被保険者)】
加入者全体の傾向とほぼ同じです。4、5月に大幅に落ち込み、9月からは少し持ち直しの傾向となっています。
【図-4】 【図-5】
【図-4:一人あたり医療費(被扶養者)】
ほぼ傾向は同様ですが、4月から5月の落ち込みが被保険者よりもかなり大きくなっています。また全体をみると、被扶養者の一人あたりの医療費(図-4)は、被保険者(図-3)よりも高くなっていることがわかります。
【図-5:一人あたり医療費(義務教育就学前)】
令和2年度が前年度を下回る傾向は同じですが、4月から10月まですべての月で下回っています。
3.健診実施率の状況(令和元年度から令和2年度(4月~11月))
【図-6】
【図-6:健診実施率(全体)】
図-6の徳島支部(棒グラフ)の健診の実施状況をみると、先にみた一人あたり医療費と同様の傾向を示しています。特に5月の落ち込みは大きい状況です。
しかし、8月以降は前年度を少し上回る状況となっています。全国平均(折れ線グラフ)では10月を除き、前年を下回る傾向が続いています。
【図-7】 【図-8】
【図-7:健診実施率(生活習慣病予防健診・被保険者本人)】
健診(全体)と同様の傾向となっています。9月以降前年を上回っていますが、全体としては低い水準となっています。
【図-8:健診受診率(特定健診・被扶養者)】
9月と11月を除く月で前年を下回っています。また全国でみると全期間(4月~11月)で下回る結果となっています。
《まとめ》
一人あたりの医療費は全国でみても、徳島支部は高い状況が続いています。令和2年度においては、前年度(令和元年度)と比較し、9月ごろまでは低い状況を示していましたが、10月は若干、前年を上回る状況となっています。被扶養者、特に義務教育就学前においては、すべての月で前年を下回りました。
医療費の減少の要因としては、コロナウイルス感染症や緊急事態宣言などによる医療機関への受診控えであったことが推測されます。また、9、10月以降の増加の要因としては、受診控えの反動や受診控えの影響による病気の重篤化などが考えられます。
また、健診の受診率をみても、8月ごろまでは受診控えとみられる状況が続き、9月以降はほぼ前年並みまで回復しました。しかし、全体をみると受診率はまだまだ低い状況となっています。
現在、依然コロナ禍の状況ではありますが、加入者の皆さまの「受診控え」による医療費の減少は、同時に「病気の重篤化」につながることが懸念されます。
加入者の皆さまには、引き続き、感染予防対策(マスク着用や手洗い)を実施していただき、また、病気の重篤化を招く前に年に1度は、「健康診断」を受診いただくとともに、体調の変化や健診結果に基づき、適切に医療機関へも受診いただきますようよろしくお願いします。
加入者の皆さま一人ひとりの健康の積み重ねが、医療費と保険料率の上昇抑制につながります。
日頃から良い生活習慣を心がけ、年に1度の健診受診で自身の健康状態の把握に努めましょう。