第4回「どのような病気で医療費が発生しているのか」
令和06年03月06日
今年度から始めた医療費分析に関する豆知識を紹介するこのコーナー、第4回の今回は「どのような病気で医療費が発生しているのか」ご紹介します。
医療費が高額な病気というと、治療費が沢山必要な病気を思い浮かべるかもしれませんが、患者さんが非常に多い病気も全体の医療費は高くなります。
ちなみに、国が2020年度に行った「患者調査」という調査では、高血圧などの「循環器系の疾患」が約2,000万人、続いて歯周病や胃腸炎などの「消化器系の疾患」が約1,760万人、糖尿病や脂質異常症などの「内分泌、栄養及び代謝疾患」が約1,150万人という結果でした。
では、実際に医療費はどのようになっているか、確認してみましょう。宮崎支部の2022年度医療費上位の病気は以下の通りでした。
第1位:循環器系の疾患〈約101億円〉
第2位:新生物(がん)〈約97億円〉
第3位:呼吸器系の疾患〈約79億円)
最も高いのは「循環器系の疾患」ですが、内訳として概ね7割程度が高血圧の治療にかかっています。先にお示しした患者数を考えると、この結果は予想されたかもしれませんが、実は協会全体では最も医療費がかかるのは第2位の新生物(がん)です。
これは、新生物(がん)は(特に婦人科系のがんなどは)、若い方でも罹患される事が多く、手術や高額な抗がん剤など医療費がかかりやすい傾向があるためです。
しかし、宮崎は新生物(がん)にかかる医療費は、全国と比較すると低く、逆に循環器系の疾患にかかる医療費は高い、という特徴が見られるため、逆転が起きています。
では、クイズの答えは「②高血圧などの循環器系の疾患」・・と思うかもしれませんが、選択肢をもう一度を確認してみましょう。
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④の選択肢はこのように記載されています「④ 風邪などの呼吸器系疾患(新型コロナ等含む)」。実は新型コロナにかかる区分は「特殊目的用コード」と呼ばれる別の項目に区分されていますので、④は二つの区分を合算しなければなりません。新型コロナの金額は以下の通りでした。
第9位:特殊目的用コード(新型コロナ)〈約31億円〉
つまり合計すると、約31億円+約79億円=約110億円となり、循環器系の疾患の金額を超えることになります。
よって、答えは「④ 風邪などの呼吸器系疾患(新型コロナ等含む)」でした。
社会に大きな影響を与えた新型コロナウィルス感染症の流行は、医療費にも大きな影響を及ぼしている事がお分かり頂けたでしょうか?
※グラフは2022年度の宮崎支部傷病別医療費を円グラフにしたもの。数値は百万円。