第2回「医療費はどれくらい増えている?」
令和05年09月05日
第2回:「医療費はどれくらい増えている?」
少子化対策に「異次元」という言葉がつけられ、財源の議論が行われるなど、日本は少子高齢化が進んでいます。病院にかかる頻度はその人の健康状態によりますが、若い内はあまり病院に通う必要が無くとも、年を重ねるにつれてお世話になる事が少しずつ増えてくるのが一般的です。
そのため、必然的に医療費は少しずつ増加していくことになりますが、実は増加の割合は毎年一定ではありません。「事業年報」という資料から実際に数値を確認してみましょう。
年度 | 医療費 (億円) | 増加率 |
2011 | 595 | |
2012 | 608 | 2.1% |
2013 | 624 | 2.6% |
2014 | 634 | 1.7% |
2015 | 674 | 6.2% |
2016 | 685 | 1.6% |
2017 | 713 | 4.1% |
2018 | 720 | 1.0% |
2019 | 753 | 4.6% |
2020 | 740 | -1.8% |
2021 | 777 | 5.1% |

ご覧の通り、医療費は隔年で増加率が変動する傾向があります。理由はいくつかありますが、大きな要因として「診療報酬制度の改定」が挙げられます。
日本は健康保険を使う場合は、同じ治療内容であれば、概ねどの病院でも同じ金額となります。この「何をしたらいくら」というものを定めたのが「診療報酬」と言い、2年に1回改定が行われます(薬の値段は毎年変わるようになりました)。
偶数年度で改定が行われますが、「改定した年度よりその次の年度の方が医療費は伸びる」と知っておくと、グラフを見るだけでいつ改定があったかすぐ分かります。また、伸び率を見る際にも単年度ではなく一定期間ずつまとめて見る方が安定した数値となります。平均すると概ね3%前後医療費は増加を続けている状態ですので、クイズは「②約600億円(年3%前後増加)」が正解でした。
(クイズって何?と思われた方は、こちらからぜひメルマガをお申込みください!)
ちなみに2020年度は新型コロナウィルスの流行もあって、医療費が前年度を下回るという大変珍しい年でしたが、次の2021年度は5.1%の伸びを見せています。
このまま年3%前後の伸びが続くと仮定すると、2030年頃には1,000億円を超える想定となります。第1回で「宮崎は医療費がそれほど高い地域ではない」とお伝えしましたが、それでも数年の内に1,000億円の大台を超える可能性があると考えると、現在の枠組みでの保険制度がどこまで続けられるのか、という課題は常にあります。
このあたりの話は明るいものではないですが、私たち協会けんぽはこの課題に対して取組を行っていますので、ご紹介させて頂きました。