穴があいてからの歯の治療では遅い!?
穴があいてからの歯の治療では遅い!?
多くの人は「歯に穴があいたら歯医者へ行こう」と考えます。しかし実際には、その時点では治療としては遅いです。歯の表面のエナメル質は、酸によって徐々に溶けていきますが、初期の段階であれば唾液やフッ素の力によって再石灰化し、自然に修復されることもあります。
国際的には「ICDAS」という基準でむし歯の進行度が評価されており、日本でもヘルスケア歯科学会を中心に「エナメル初期う蝕」、つまり穴があく前の段階での予防や管理が重視されています。穴があいていない虫歯を発見し、早期対応していくことが、歯を長持ちさせるコツです。この時期であれば削らずに済み、フッ素塗布や生活習慣の改善で歯を守ることが可能になります。
一度穴があいてしまうと、自然修復は望めません。治療では人工材料で補うしかなく、残念ながら元の健全な歯質は戻らないのです。だからこそ「穴があいてから」ではなく「穴があく前」の管理こそが大切です。毎日のフッ素入り歯みがき、間食の見直し、そして定期的な歯科健診が歯を守る最良の方法といえるでしょう。
歯の健康は、早期発見・早期対応でこそ守られます。あなたの歯はまだ穴があいていませんか?
公益社団法人 神奈川県歯科医師会
地域保健委員会
地域保健Ⅰ(健康増進事業部) 委員 塩本仁美