事案
事業者健診結果作成業務の委託業者が、A事業所へ送付した「事業者健診結果(返戻扱)」について、本来は他社へ送付すべき健診結果票(問診含む)を誤って混入。A事業所が文書を開封・確認したことにより、22事業所41名分の要配慮個人情報が漏洩してしまったもの
発生原因
①不備項目のある健診結果票の仕分け作業を担当者1名が実施した際に、A事業所を含めた誤送付先の22事業所(計23事業所)について、本来は1事業所を1つのクリアファイルに分け保管すべきところを、業務繁忙により集中力が低下し本来ルールを逸脱してまとめて保管し、格納してしまった。
②既存の封入封緘の作業フローを準用して返戻作業を行っていたが、返戻作業専用の作業フローを構築していなかった。封入物や枚数が固定される封入封緘作業と異なり、返戻作業においては内容物・枚数が1件ごとに異なるが、その点に配慮したフローがなかったために返戻発送作業者は内容物の確認・混入物の発見に至らなかった。
③返戻する内容物を確認するための「頭紙(事業所健診結果等パンチ入力結果票)」へは、健診結果を返戻する件数のみの記載となっており、具体的な枚数や人数の記載がなかったため、作業者は混入物の発見に至らなかった。
④「データ入力管理簿(受付内容や結果のパンチ入力、返戻等に関する事跡が記載された管理簿)」を基に「返戻対象事業所リスト(返戻作業を行う際に、管理簿データより事業所情報を抽出のうえ、チェックリストとして出力し、活用するリスト)」を作成する手順を逸脱し、クリアファイル内の書類から「返戻対象事業所リスト」を作成して作業を行った。また「データ入力管理簿」の返戻すべき事業所数と、「返戻対象事業所リスト」に記載される事業所数とで比較検証していなかったため、本作業で発送件数が不足していることに気付けなかった。
判明日
令和7年6月5日
判明契機
A事業所より、到着した返戻扱いの事業者健診結果票へ他社分が添付されている旨福島支部へ連絡いただいたことにより判明。
対応
委託業者において、A事業所を訪問し、謝罪のうえ回収。
情報漏洩のあった21事業所41名に対し、委託業者より電話または文書により謝罪と状況説明を行った。
再発防止策
①1つのクリアファイルに他の事業所の健診結果票を誤って混在して保管することのないようルールの再周知徹底(フローポスターの明示)、管理者での管理簿とクリアファイルとの突合作業、安全管理ミーティングの実施、抜き打ちチェックを月次でチェックするほか、朝礼での周知啓蒙、研修・テスト等継続対策の実施。
②返戻時の作業フローを新たに構築。
③返戻内容物の確認を徹底するための「頭紙」の改訂(受領枚数に加え人数の追加、返戻対象の人数及び返戻対象紙媒体枚数等記録欄の整備)。
④「返戻対象事業所リスト」作成手順および返戻件数の確認手順を、返戻作業フローに追加するとともに、管理徹底のため「データ入力管理簿」と「返戻対象事業所リスト」との一元化を実施。