体の水の働き
私たちの体にもっとも多く含まれているのは水です。成人男性では体重の60%、女性は55%を占めています。主に脳、腸、腎臓、筋肉、肝臓などの臓器・組織の水分は約80%、脂肪組織は中性脂肪が多いので約33%が含まれているといいます。
脱水が体重の2%を超えると精神不安定、体温上昇が認められ、5%では脱水症状や熱中症などの症状、10%では筋肉痙攣や腎機能が失われ、20%近くが失われると生命維持が困難になるといいます。中高年では脳梗塞や心筋梗塞なども水分不足が大きなリスクのひとつになっているなど、生きていく上で、また健康のためにも欠かせない存在が「水」です。
水の働き
水の働きは大まかに
①栄養素や老廃物の運搬・・・全身に栄養素を運ぶ血液やリンパ液、老廃物を排出する尿
②体温調節
③体内で起こる全ての化学反応、物理反応の場になる・・・摂取した栄養素は水に溶けた状態で
消化・吸収され代謝される
私たちの体にとっても大事な水。いつも体内に一定量があるように、体内に入る量と水の出る量はほぼ同じように調整されています。
量はともに約2500ml。体に入る水は、1日あたり

食べ物に含まれる水分 1000ml
飲料水 1200ml
代謝水※ 300ml
※代謝水とは、それぞれの
栄養素が体内で燃焼される時にできる
水のこと。
代謝水は栄養素によってできる量が違います。
1gあたりの代謝水は
糖質×0.56ml
脂質×1.
07ml
タンパク質×0.41ml
水の摂り方
飲料水は体にどう吸収されるのか、どのような摂り方をしたらいいのか、調べてみました。
体にとって水は小腸からの吸収率が比較的高くなっています。20分から30分もあれば、ミネラルウォーターやスポーツ飲料、経口補水液もほとんど吸収され、飲料の差はないともいいます。水の吸収を考えるときに水が吸収される速さが大切な指標となるようです。水の吸収速度は速いほうがいいのか、遅いほうがいいのかはその時の状況によってかわってくるとのこと。水だけのほうが栄養のあるものより胃にとどまらずにすぐに小腸に流れ込みます。水の吸収速度に対しては、塩分や糖分の比率で違う結果がでていました。
スポーツをするときには頻繁に水を摂取するとパフォーマンスがあがるといいますが、でも頻繁に補給できないスポーツではゆっくりと水を吸収させること、1分を争うような状況では吸収を速くすることが意味を持つことがあるといいます。
食事がうまくとれない、発熱や発汗、下痢で脱水の場合などは、塩分と糖分が理想的な濃度バランスに調整された経口補水液のような効率よく早く吸収される水分をとりたいです。この場合、1回にたくさん飲むのではなく、5分に1回、1回につき大人なら50ml、学童なら30mlくらいを目安に頻回にとることが秘訣、1時間も続けると点滴を1本受けたのと同じくらいの水分補給になるそうです。
経口補水液の作り方
水500mlに砂糖20g(大さじ2・1/3)、塩1.5g(小さじ1/4)
お好みでレモン果汁をレモン1/4個分加えると飲みやすくなります。
(ペットボトルで作る場合)
小腸で水分と電解質を効率よく吸収させるためには糖分とナトリウムのバランスが重要です。甘さを控えるには糖分を少なくすればいいのですが、そうすると水分の吸収率が落ちてしまいますので、砂糖を減らすとしても半分までにした方がいいようです。砂糖の代わりに単糖のブドウ糖を使うことで全体の糖分量を減らしながらでも、水分の吸収率をキープできるようなので、ブドウ糖9gにかえてみられてもいいです。
発汗による水分、塩分補給にはいいですが、熱中症や嘔吐や下痢などの時はあくまで応急処置です。手作りのものは1日、2日以内には飲むようにしてください。
厚生労働省の「健康のため水を飲もう」という推進運動があります。
飲み水として1日1.2リットルくらい必要になるのでふだんからこまめに水分補給をし、塩分や糖分の濃度を調整した水分を体調やスポーツをするときなど状況にあわせて補給をしてみてください。
管理栄養士 明石 香織