ページ上部です

予防歯科コラム第7回

【歯周病の予防法-生活習慣病の観点から(2)肥満-】

 

 歯周病は細菌感染症ですが、その発症や進行には生活習慣がかかわっています。前回は、生活習慣のなかでも喫煙が歯周病の重大なリスク因子であることをお話しました。今回は肥満と歯周病の関連についてお話します。

 みなさんもご存知のとおり、肥満は多くの生活習慣病のリスク因子です。例えば、肥満は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、心疾患などのリスク因子であることが知られています。歯周病に関しても、肥満は歯周病の発症、進行に影響を及ぼすことが明らかとなってきました。

 肥満を示す指標でよく使われるものにBMI(体格指数:body-mass index)があります。これは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値です。例えば、身長170 cm、体重70 kgの人のBMIは、70÷1.7÷1.7で求められ、24.2となります。日本肥満学会では、BMIが18.5未満を低体重(やせ)、18.5以上25未満を普通体重、25以上を肥満と定義しています。肥満はBMIの値により4段階に分けられ、BMI25以上30未満を肥満度1、30以上35未満を肥満度2、35以上40未満を肥満度3、40以上を肥満度4とし、BMI35以上を高度肥満と定義しています。日本人の場合、BMI値22がもっとも病気のリスクが低いことが知られています。

 肥満と歯周病の関連について調べた国内外の研究の多くで、両者に関連性があることが示されています。例えば、日本の20歳から59歳の労働者372名を対象とした研究では、年齢、性別、喫煙量、飲酒量、歯磨き回数を統計学的に偏りが出ないように調整しても、BMIの値が20未満の人と比べると、BMIが20以上22未満の人は1.87倍、22以上24未満の人は1.88倍、24以上26未満の人は2.84倍、26以上28未満の人は4.55倍、28以上の人は4.57倍、歯周病に罹患しており、BMIの値が高くなればなるほど歯周病の有病率が高くなるという量―反応関係がみられることが報告されています。▼

 このように、喫煙ほどではありませんが、肥満が歯周病のリスク因子となるエビデンスが積み上げられてきています。毎日の歯磨きや専門家による定期的な歯のお掃除に加え、適度な運動や適切な食生活により肥満を防止することも歯周病の予防につながります。なかなか生活習慣を改善することは難しいですが、この機会に生活習慣を見直してみませんか。次回は、食生活や栄養と歯周病の関係についてお話します。

 

▼Nishida Nら、Journal of Periodontology, 2005; 76: 923-928

 

(関西女子短期大学 歯科衛生学科 永田 英樹 教授)