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予防歯科コラム第5回

【 歯磨剤と洗口剤 】

 

 今回は歯磨剤(歯磨き粉)と洗口剤のお話をしたいと思います。歯磨剤や洗口剤は「歯磨き類」と呼ばれます。歯磨剤は主として「化粧品」と「医薬部外品」に分けられます。基本成分のみの歯磨剤は「化粧品」に、薬用成分を含んでいる歯磨剤は「医薬部外品」に分類されます。薬用成分を含んでいる歯磨剤は、その分、価格も高くなります。洗口剤は、基本的に液体歯磨剤と組成はほぼ同じで、歯磨き時に使用するか単独で使用するかという使用方法の違いで分けられています。

 歯磨剤の基本成分には、研磨剤、湿潤剤、発泡剤、粘結剤、香味剤、保存剤があります。研磨剤は、歯の表面の汚れを除去する効果がありますが、逆に、歯の表面を傷つけてしまうおそれがあるともいわれています。発泡剤は、口の中に歯磨剤を拡散させ、洗浄作用がありますが、口の中が泡だらけになり、時間をかけて磨くことが難しくなったり、歯ブラシの毛先がきちっと歯に当たっているかを鏡で確認することが難しくなったりするマイナス面もあります。液体歯磨剤は研磨剤を含まないので、歯に傷をつけるおそれはないのですが、歯の表面についた沈着物が除去できず、着色しやすいという欠点があります。

 歯磨剤に含まれている薬用成分には、むし歯予防、歯周病予防、知覚過敏対策、歯石沈着予防を謳ったものがあります。特に、むし歯予防効果があるフッ素が配合された歯磨剤の市場占有率は約90%であり▼、フッ素が入っていない歯磨剤を探すほうが難しいくらいです。子ども用の歯磨剤は100%フッ素が入っています。歯周病予防としては、消炎剤、血行促進剤、殺菌剤などが配合された歯磨剤があります。

 歯磨剤を使用すると、効率的にプラークを除去できるとともに、薬用成分による効果が期待できます。しかし、歯磨剤の効果を期待するためには、ある程度、歯磨剤の量とブラッシングの時間が必要となります。口の中には唾液が存在するため、歯磨剤に含まれる薬用成分の濃度も薄くなってしまいます。1回のブラッシングで歯磨剤を3分以上口の中に作用させ、その後、水によるうがいはなるべく少なくしたほうが、薬用効果が期待できます。さらに、細菌は、歯の表面にバイオフィルムと呼ばれる塊を作って存在します。バイオフィルム中の細菌は多糖を生産し、バリアを形成します。このバリアにより薬効成分の浸透性が低下するため、残念ながら、バイオフィルムを形成した細菌には歯磨剤の薬効成分は効きにくくなります。したがって、プラークコントロールは、歯磨きによる物理的なプラーク除去が基本で、歯磨剤や洗口剤はあくまで補助的なものと考えてもらったほうがよいでしょう。

 

 ▼ライオン歯科衛生研究所のホームページをご参照ください。

ホームページアドレス

https://www.lion-dent-health.or.jp/library/statistical3a.htm#1

 

(関西女子短期大学 歯科衛生学科 永田 英樹 教授)