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メールマガジン71号(2017年10月5日)

「気をつけたい中高年の目の病気」  北海道医師会

 外界の情報の80%は、目から入ります。生涯にわたって良好な視機能を保つことは、豊かな人生を送るために大切なことです。
 中高年の方の中途失明の原因は、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性が代表例です。どの疾患も、早期発見・早期治療が何より有効です。ここでは、これらの疾患について解説します。

1. 緑内障
 緑内障は眼圧(目の球形を保つ力)が高くなり、視神経を圧迫して視野が欠けていく病気です。40歳以上では、20人に一人が緑内障であることが分かっています。
 自覚症状がほとんどないのが特徴です。健康診断や、たまたま受診した眼科で指摘され、はじめて気づくことが多い疾患です。
 緑内障は、炎症や外傷などが原因の「続発緑内障」と、原因のない「原発緑内障」に分類されます。「原発緑内障」は、眼圧が低くても発症する「開放隅角緑内障」と、急激に眼圧が上昇する「閉塞隅角緑内障」に分かれます。「閉塞隅角緑内障」は、かぜ薬や睡眠薬で眼圧が上昇すること(急性緑内障発作)があり、注意が必要です。最も多いのは、「開放隅角緑内障」なので、薬の制限はありません。
 眼科では、眼圧検査、眼底検査、視野検査を行います。視神経の検査は眼底三次元画像解析装置(OCTスキャンなど)を用いて、非侵襲的に行います。進行すると自覚症状が現れますが、それまでは、眼科の検査で、緑内障の程度と進行を調べます。
 治療は、点眼薬による眼圧下降治療が中心です。指示された点眼回数を必ず守り、忘れないことが大切です。点眼薬で効果が得られなければ、手術治療で眼圧を下げることになります。
 どんなに眼圧が下がっても、失われた視野は回復しません。目薬をきちんとさして、定期的に通院することが、唯一の確実な治療法です。

 2. 糖尿病網膜症
 糖尿病は国民病ともいわれています。血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が弱くなり、出血や腫れを起こします。
 糖尿病と診断されてもすぐに見えなくなるわけではありません。糖尿病網膜症の発症までには何年も時間がかかります。糖尿病の血糖コントロールがよくなってから、眼底に出血を起こすことがあります。糖尿病と診断されれば、自覚症状がなくても定期的な眼科検査が必要です。
 眼底に出血が見られる単純型網膜症、軟性白斑が出現し網膜の血の巡りが悪くなった増殖前網膜症、新生血管が目の中に伸びて硝子体出血や網膜剥離となる増殖網膜症の3段階で悪化します。視力に大事な黄斑部が障害されると、自覚症状が現れます。 
 治療は糖尿病のコントロールが最重要です。網膜症の治療には、新生血管の成長を抑える抗血管内皮増殖因子抗体(抗VEGF抗体)の眼内注射、新生血管をつぶすレーザー光凝固、剥がれた網膜を復位させる硝子体手術が行われます。程度が軽ければ内服治療も行います。
 糖尿病の人は、眼科で必ず定期検査を受けましょう。

 3. 加齢黄斑変性
 加齢により網膜の黄斑部が障害される病気です。黄斑部は網膜の中心で、視力を保つ一番大切なところです。ここが障害されると、1.0以上の視力を得ることができません。欧米では、この加齢黄斑変性が中途失明の第2位となり、日本でも患者数が増加しています。
 黄斑部の障害は自覚症状が強く出ることが特徴です。片目を隠してもう一方の目で見たときに、物が歪んで見える、中心が見えづらい、真ん中がかすむなど、自分で気づいて眼科を受診します。特に基盤のような格子状の模様、原稿用紙のマス目を見たときに気づきます。
 この病気は、黄斑部に異常を起こすものですが、黄斑部の視細胞がゆっくり障害される「萎縮型」と、黄斑部に脈絡膜新生血管が発生して視細胞が障害される「滲出型」の2種類があります。「萎縮型」は治療法がありませんが、「滲出型」は早期に治療を開始すると、進行を迎えることができます。日本人は、「滲出型」が多いことが分かっています。
 光干渉断層計(OCTスキャン)という機械で眼底を調べると、短時間で侵襲なく検査ができます。さらに詳しく調べるためには、造影剤を入れて蛍光眼底撮影を行います。
 治療は、脈絡膜新生血管を抑制する抗血管内皮増殖因子抗体(抗VEGF抗体)の注射になります。新生血管に最も効果的な眼内への注射を行います。脈絡膜新生血管の程度に応じて、何回も注射します。レーザー光凝固術を併用することもあります。
 加齢黄斑変性の予防は、何より禁煙です。食事の欧米化が加齢黄斑変性の増加の原因と考えられています。バランスのよい食事をとることが重要です。

 目の病気は、日本眼科医会の「目についての健康情報」(http://www.gankaikai.or.jp/health/)にわかりやすく載っています。ぜひ参考にして下さい。