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メールマガジン59号(2016年10月5日)

「女性の健康」        北海道医師会

 女性のライフスタイルは50年間で大きく変わり、女性たちは結婚後も仕事を続け、多くのストレスを抱えながら生活するようになりました。
 結婚年齢が遅くなり初産年齢が上がるとともに出産数が減り、また食生活が欧米化し栄養状態が変化することにより、疾病内容も変わりました。

 女性の健康状態は性ホルモンの変動により変化するために、月経周期内の時期、つまり月経中から月経直後、排卵期、排卵後の黄体期などで、頭痛や腹痛、全身倦怠やうつ状態などメンタル面の不調も生じることがあります。
 生殖年齢時代には性ホルモンであるエストロゲン依存性の子宮筋腫や子宮内膜症、機能性不正出血や悪性腫瘍、そして加齢とともにエストロゲンやテストステロンの血中濃度は低下し、骨密度の低下、動脈硬化、筋力低下、泌尿生殖器異常などが出てきます。本稿では生殖年齢女性の健康について自己管理しておくべき点に触れていきます。

 

【1】がん検診

 我が国のがん罹患率第1位は男女とも胃がんの時代が長く続いていましたが、1998年頃から女性では乳がんが取って代わり、2位以下が大腸がん、肺がん、胃がん、子宮がんと続きます。
 しかし死亡率をみると、乳がん5位、子宮がん8位であり、早期発見による効果が高いのです。
 自治体では20歳から5年ごとに、女性の子宮がん・乳がんの検診無料クーポンを配布しています。加えて2年ごとの偶数歳時にがん検診料の補助もありますので、これらの行政サービスを受けましょう。

子宮がん

 子宮がんには頸がんと体がんがあるので、どちらの検査を受けているかを知っておくことが重要です。
 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染に起因するもので、20~30代にピークをもちます。がん細胞の増殖には時間がかかり浸潤がんになるまでは5~10年以上といわれ、定期的に検診を受ければがんになる前の段階で見つけられ、子宮を残し妊娠が可能な手術となります。
 一方、子宮体がんは月経時にはがれる内膜から発生するがんで、閉経後の50~60代にピークを迎えますが、閉経年齢が上昇してきていることもあり増加しています。

乳がん

 女性の罹患率第1位であり、年々増え続け2016年は全国9万人にのぼると推定されています。検診はマンモグラフィー(MMG)ですが、MMGで発見できない乳がんもあるため超音波検査は有効であり、特に40歳未満の若い女性には適応です。加えて自己触診の有効性を専門医の8割が指摘しており、3か月に1度は自己検診を行うのが望ましいです。乳がんは乳頭を中心に4つの領域に分けると、外側上部が45%を占め、内側上部、外側下部、乳輪下部、内側下部へと続きます。
 アンジェリーナ・ジョリーが乳房切除術を受けたことから遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)が話題となりました。若年乳がん、多発乳がんの場合や卵巣がんも発症するHBOCは遺伝性といわれ、乳がん・卵巣がんの約10%を占めるため、通常とは異なる医学的管理が推奨されます。

 

【2】子宮筋腫・子宮内膜症

 30歳以上の女性の約3割に発生する良性疾患ですが、できる部位によって貧血になるほど月経の量が多くなる粘膜下筋腫は手術の適応となります。子宮内腔に突出していることが多く、膣から挿入する内視鏡で切除が可能です。
 月経痛がひどく進行すると月経以外でも骨盤内疼痛を認めたり、排便時痛が生じる子宮内膜症は不妊の原因にもなり、卵巣に発生するチョコレート嚢胞ではがん化の可能性もあるため経過観察が必要です。子宮内膜症や子宮筋腫は腹腔鏡下手術による治療が主流となります。

 

【3】不妊治療

 女性たちが仕事を続け妊娠のチャンスを失う社会現象が少子化の一因ともいわれています。35歳を過ぎてから不妊治療を受けることが多いのですが、たとえば体外受精の妊娠成功率は年齢とともに低下し、40歳では25%以下となり、逆に流産率は40%と、染色体異常の発生とともに加齢により急激に上昇します。年齢別による自然妊娠率は30歳までは25~30%であり、年齢とともに妊娠率は低下し、35歳で18%、40歳で5%、45歳で1%と報告されています。第1子の出産は30歳までをキーワードに日本産科婦人科学会では推奨しています。

 

【4】メンタルヘルス

 落ち込んだり、イライラする、やる気が出ないなど、こころの不調は誰もが経験しますが、不調が長く続くと、仕事の継続や日常生活が破綻することがあるため、他の人に話を聞いてもらったり心療内科を受診するなど早めに対処することが必要です。心の不調は自覚せず不眠や体がだるいなど身体症状が主な場合もありますが、うつ症状のひとつであり、ひとりで悩まずに受診してください。

 1億総活躍社会を掲げたわが国で、社会で仕事する中で女性の持つ能力を発揮しながら充実した人生をすごすために、主体的に健康を守っていただきたいと思います。