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メールマガジン58号(2016年9月5日)

「日本脳炎の予防対策」        北海道医師会

 日本脳炎はコガタアカイエカなど蚊により媒介され、日本脳炎ウイルスにより生じる感染症です。
 日本脳炎はヒトからヒトへの感染ではなく、ブタなどの動物の体内で増えた日本脳炎ウイルスを蚊が吸血して、その蚊がヒトを刺して感染します。
 日本脳炎は数日の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、嘔吐などの症状を示し、その後、項部硬直、意識障がいや筋硬直などの脳炎症状が現れます。日本脳炎は不顕性感染率が高く、日本脳炎ウイルスに感染しても特に何も症状を呈しないことが多くあります。
 しかし、日本脳炎ウイルスに感染した約100~1000人に1人が発病して、日本脳炎に対する特異的な治療法がないため、対症療法が中心となり、死亡率は20~40%と高く、乳幼児や高齢者ではリスクが特に高い重篤な病気です。また、精神神経学的後遺症は生存者の45~70%に残り、小児では重度の障がいを残すことが多くあります。以前は日本で多くの日本脳炎の患者を認められましたが、日本脳炎ワクチンの普及により日本脳炎の流行が阻止され、最近では、患者の報告は年間10人未満と減少しています。しかし、世界的には感染症の対策が遅れていて、日本脳炎ワクチンの予防接種が行われていない国も多く、毎年5万人が発病し、約1万人が死亡しています。

 北海道は、日本脳炎の患者の報告がないことから、予防接種を行う必要がないと認められる「区域指定」がされていたため、日本の他の地域で行われている日本脳炎ワクチンの予防接種は今年の3月末まで定期予防接種として行われていません。今年4月より北海道も「区域指定」が解除され、日本脳炎ワクチンを定期予防接種として無料で受けることが可能となりました。日本脳炎ワクチンは1期初回2回と1期追加1回を生後6月から生後90月に至るまでの間にある者、2期を9歳以上13歳未満の者が対象者となり合計4回接種します。日本脳炎ワクチンの接種量が、3歳未満は0.25mlで、3歳以上は0.5mlとなっているため、標準的な接種期間は、1期初回2回は3歳時、1期追加は4歳時、2期は9歳時に受けます。
 北海道の子どもたちはほとんど日本脳炎ワクチンを4回受けていないため、不足分を20歳未満の者を特定対象者として定期予防接種として受けることが可能になりましたが、年齢が7歳6月以上から9歳未満の者は対象者としないなど、市町村により対象者の年齢や予防接種の時期に違いがあるため、市町村に確認して予防接種を受けるようにしてください。

 日本脳炎をはじめ、マラリア、デング熱、ウエストナイル熱やジカウイルス感染症は蚊が媒介する感染症です。このこの原因ウイルスを体内に保有するヒトスジシマカやアカイエカなどの蚊に刺されることで発病します。ウイルスの流行する地域へ旅行する際には蚊に刺されないよう長袖や長ズボンなどの着用や虫よけスプレーの準備など一般的な感染症の予防対策が大切です。

 

「歯の健康を考えてみませんか」     北海道歯科医師会

なぜ、歯科健診が必要なのでしょうか?

定期的な歯科健診を受けることにより、初期のむし歯・歯周病・顎関節症などを早期発見することができ、生活習慣病の予防・アドバイス受けられます。 歯科健診は、母子・学校保健では行われていますが、一番長く肝心な時期の成人・産業保健では義務化されてなく置き去りにされています。歯科健診実施事業所は年間医科歯科医療費が減少している一方、不実施事業所では医療費が大幅に増加しています。

歯周病と糖尿病は相互に作用し悪循環を招くことを知っていますか

歯周病は歯肉、歯の周りの骨(歯槽骨)の病気で、歯周病菌で引き起こされ、歯肉が腫れ、進行すると歯槽骨が壊され、最後に歯が抜け落ちる病気です。一方、糖尿病は、糖分が体内に吸収されにくく血管にとどまる高血糖が続き、心臓病、脳卒中、失明など様々な合併症を引き落とす病気です。原因は血糖を下げるホルモンであるインスリンが不足したり、作用しなかったりすることで起こります。最近、歯周病と糖尿病が密接に関係することが分かり、歯周病は糖尿病の第6の合併症とまでいわれています。糖尿病で免疫力が低下すると、傷の治りも遅くなり、感染症である歯周病にかかりやすくなります。また、歯周病からある種の物質が血管へ入り、インスリンを作りにくくします。糖尿病のコントロールが困難になると歯周病も進行していくという”悪循環”になります。そのため、身体はより多くのインスリンを作り、長期間続くと膵臓機能が衰えます。歯周病の治療を行うと、糖尿病のコントロール状態を示す糖化ヘモグロビン(HbAlc)の数値が改善することが分かってきました。糖尿病も歯周病も、初期は自覚症状が少ないため、内科と歯科の双方で健診を行い、治療・予防を行うことが大切です。

 

「禁煙補助薬」               北海道薬剤師会

 2016年「全国たばこ喫煙者率調査」(JT)では全国の喫煙率は19.3%で、その内訳は男性が29.7%、女性が9.7%となっています。近年、全館禁煙の施設や禁煙外来を設けたりする医療機関がふえています。また東京オリピンック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止条例なども検討されています。喫煙は健康に致命的な影響を与え、高血圧症、狭心症、末梢血管障がい、脳血管障がい、消化性潰瘍など各種疾患との関連性が指摘され、さらに肺がん、咽頭がん、胃がん、食道がん等の危険性が上昇します。

たばこの煙中に含まれる主な有害物質

 たばこの煙中には4,000種類以上の化学物質が含まれ、発がん物質などの有害物質は200種類を超えると言われています。

たばこの煙中に含まれる主な有害物質とその作用

ニコチン   

血管収縮作用と興奮作用により高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈の原因に。

消化器系では副交感神経興奮作用により胃酸の分泌を促進し、胃炎、胃潰瘍の原因に。

 タール(ヤニ) 発がん物質を60種類以上含む。咽頭がん、肺がん、気管支炎、肺気腫、胃・十二指腸潰瘍、動脈硬化の原因に。
 一酸化炭素 酸素不足を招く。血管を傷つけ動脈硬化の原因に。

 ベンゾ(a)ピレン  

ニトロソアミン

 発がん物質。咽頭がん、肺がん、喉頭がん、口腔がん、食道がん、膵臓がん、膀胱がん、胃がん、肝臓がん、直腸がんの原因に。

 

禁煙補助薬

 わが国では3種類の禁煙補助薬(ニコチン製剤、バレニクリン)が使用可能です。ニコチン製剤にはガムとパッチがあり、前者は一般用医薬品(OTC)、後者はOTCと医療用医薬品があります。禁煙したときのつらさは、ニコチン離脱症状によります。ニコチン製剤はニコチンのみが含まれ、口腔粘膜や皮膚の接触面から徐々に吸収されて、禁煙時の離脱症状を軽減し禁煙を補助します。吸収されるニコチンの量も喫煙者が喫煙によって吸収するニコチンより通常少量であり、急速なニコチン濃度の上昇はみられず安全に使用できます。バレニクリンは経口薬で、α1β2ニコチン受容体部分作動薬です。ニコチンより親和性で脳内のニコチン受容体に結合し、作動薬と拮抗薬という2つの特徴を発現します。受容体の一部を刺激し、少量のドパミンを放出させることで禁煙に伴う離脱症状を軽減し、同時に拮抗薬としてニコチンと受容体の結合を阻害するので再喫煙による満足感を抑制します。
 それぞれの薬剤の特徴を踏まえたうえで、患者さんの状態を考慮して選択します。