ページ上部です

メールマガジン62号(2017年1月5日)

「脳卒中の予防」北海道医師会

 脳卒中とは、突然発症する脳の血管の病気の総称です。注意を払っていれば、絶対に発症しないなどということはありませんが、努力によっては発症の可能性を減らすことはできます。
 脳卒中と言われているものには次のような種類があります。

1. くも膜下出血
 これは、そのほとんどが動脈瘤の破裂が直接の原因です。稀に脳動静脈奇形等が出血する時もありますが、いずれも発見して処置をすれば、くも膜下出血の発症を防ぐことができ、究極の予防法ということになります。
 これらは脳ドック等で発見しますが、見つけた未破裂の動脈瘤等をいかに処置するかは、いろいろと難しい問題があります。私たち脳外科医は、くも膜下出血を起こした患者さんを診て、動脈瘤を発見したら処置しますので、逆に動脈瘤は皆終結を起こすと思いがちです。しかし、動脈瘤が破れる率は意外に低いことが判ってきました。1年間で1%以下との報告もあります。ですから、もし未破裂の動脈瘤が見つかったときには、その施設の設備、人員そして術者の経験数といったものが判断の重要な基準になります。すぐ破れると決まったわけではありませんから、主治医とじっくり話し合う必要があります。最近は血管内手術も定着してきています。

2. 脳出血
 脳卒中といえば、まず思いつくのがこの疾患です。この予防に関しては一般的には血圧の管理に尽きます。最近の住宅の環境は昔と比べようもなく良くはなっていますが、冬期のトイレ、浴室の暖房には注意を払うべきです。また、よく知られているように、塩分の過剰摂取に注意が必要です。雪国の方々はとかく塩分を取り過ぎです。薄味に慣れることが必要です。

3. 脳梗塞
 脳の血管が詰まる病気です。二つの種類があります。
 一つは、脳の血管が徐々に狭くなって詰まってしまう状態です。これには動脈硬化が大きな意味を持ちますので、コレステロールの管理等が必要です。
 二つ目は、主として心臓内の血栓という血の塊が脳に飛んで詰まってしまう脳塞栓という病態もあります。この予防には普段からの循環器内科での心房細動等の検査やそれに見合った治療が必要になります。

 日本脳卒中協会は脳卒中の予防啓発を目的に「脳卒中予防十か条」を作成しています。
この中で、まず脳卒中の主要危険因子である高血圧、糖尿病、不整脈(心房細動)、喫煙、過度の飲酒、高コレステロール血症に対する注意を喚起し、次に、高血圧・糖尿病・高コレステロール血症を予防するための塩分・脂肪分控えめの食事、過度な運動、肥満を避けることを勧め、最後に、万が一発症した場合の救急対応の必要性を謳っております。

脳卒中予防10箇条
  1.  手始めに 高血圧から 治しましょう
  2.  糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  3.  不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  4.  予防には たばこを止める 意志を持て
  5.  アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  6.  高すぎる コレステロールも 見逃すな
  7.  お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  8.  体力に 合った運動 続けよう
  9.  万病の 引き金になる 太りすぎ
 10.  脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

 最後に強調したいのは“脳卒中と喫煙の害”についてです。

 喫煙(タバコ)は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の発生に大きく関わっています。
 タバコを吸うと、ニコチン、タール、一酸化炭素が身体に入るので、そのために全身の血管が収縮してしまい、血圧が上がってしまいます。高血圧は動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は脳梗塞、脳出血の原因です。
 つまり、喫煙により高血圧になりやすくなり、それが脳卒中の発生へとつながっていきます。
 また、喫煙はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やしてしまうので、動脈硬化が発症する危険が高くなり、さらに動脈硬化を進行させてしまいます。
 喫煙は肺がんやその他のがんの発症率を高めることはよく知られていますし、脳梗塞の原因にもなる不整脈などの心臓病の発生にも関わっています。その他様々な病気との関わりがあるので、タバコを吸っているというだけでたくさんの病気へのリスクを抱えているということなのです。