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9月 脱”早食い”で健康アップ

●早食いするとどうなるか?

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・早食いと肥満の関係

平成21年の国民健康栄養調査の結果では、男女とも肥満度が高い人ほど食べる早さが「早い」人の割合が多く、「遅い」人の割合が少ないことがわかっています。いくつかの疫学研究でも同様の結果が出ており、また子どもにおいても同じ傾向がみられます。
早食いをすると肥満になりやすいのは、なぜでしょうか? 食事をすると、血液中のブドウ糖の濃度が上昇し、満腹中枢がそれに反応して、満腹感を知らせますが、ブドウ糖の濃度が上昇するには、ある程度の時間が必要です。そのため早食いの場合、満腹感が得られる前に多くの食事をとってしまいがちになり、摂取エネルギー量が多くなるため肥満につながると考えられています。

・早食いはメタボにも関係

広島大学の研究チームが約1,000人の男女を5年間追跡調査した結果では、早食いの習慣のある人がメタボを発症した割合は11.6%で、ゆっくり食べる人の2.3%、普通の人の6.5%よりも高いということが判明しています。早食いは、体重の増加、血糖値の上昇、腹囲の増加にも関連していることがわかっています。

●よく噛むための秘訣

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・よく噛むことはエネルギー消費量を増加させる

日本肥満学会の「肥満症治療ガイドライン」では、肥満の行動療法の一つとして「咀嚼法」があげられており、一口30回噛むことが推奨されています。咀嚼(よく噛む)には、満腹中枢を刺激して、食欲を抑える働きがありますが、さらにゆっくりよく噛んで食べることで、食後のエネルギー消費量である「食事誘発性体熱産生」が増加します。「食事誘発性体熱産生」とは、食後安静にしていても栄養素の消化・吸収による代謝によって使われるエネルギー消費量のことです。つまり、よく噛んでゆっくり食事をすることは、エネルギー摂取量の抑制とエネルギー消費量アップの2つの効果が期待できることになります。

・ゆっくり食べるコツ

ゆっくり食べる、つまり食べるスピードを遅くするには、食べるのに時間がかかる工夫をする、という方法もあります。
まず、料理の際は、食材は大きく、厚めに切り、噛みごたえがある状態にしましょう。きのこやこんにゃくなど食物繊維を多く含む食材を使うことも効果的です。魚や肉は骨付きのものを選ぶと噛みごたえや食べにくさから時間をかけて食べることができます。

・よく噛むためには歯のケアを

よく噛むためには、「噛める」ことも大切です。平成25年 国民健康・栄養調査報告から、歯の本数が多い人ほどよく噛めることがわかっています。歯を失う二大原因は、虫歯と歯周病です。毎日の歯みがきや定期的な検診で、歯の健康も維持しましょう。

●ゆっくり食べる健康効果

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よく噛んでゆっくり食べることは、肥満を防ぐだけでなく、体にさまざまな良い影響があります。

○脳の発達

よく噛むことは脳細胞の働きを活発化します。
あごを開けたり閉じたりすることで、 脳に酸素と栄養を送り、活性化します。
子どもの知育を助け、 高齢者にとっては認知症の予防に大いに役立ちます。

○味覚の発達

よく噛むと、食べもの本来の味がわかります。人は濃い味にはすぐに慣れてしまいます。
できるだけ薄味にし、よく噛んで食材そのものの持ち味を味わうよう、心がけましょう。

○歯の病気を防ぐ

よく噛むと唾液がたくさん出て、口の中をきれいにします。
この唾液の働きが、 虫歯になりかかった歯の表面をきれいにしたり、細菌感染を防いだりして、虫歯や歯周病を防ぎます。

○胃腸の働きを促進する

よく噛むと消化酵素がたくさん出て、消化吸収を助けてくれますが、食べものがきちんと咀嚼されないと、胃腸障害の原因となりがちです。
(参考:8020推進財団 「噛む8大効用」)

健康レシピ「チキンときのこのピリ辛炒め」はこちら

[監修]東京大学付属病院アレルギーリウマチ内科 医師・医学博士
女子栄養大学大学院 成人・高齢者保健学 非常勤講師
関谷 剛