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これは知っトク! ギャンブル依存症 |
- 依存症は誰もがかかり得る身近な病気
- 医療機関でギャンブル依存症の治療が受けられる
- 治療を受けた人は脱ギャンブルの継続率が高い
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“やめたくても、やめられない”依存症
ストレス解消や気分転換のために、お酒を飲んだり、競馬やパチンコなどのギャンブルや、オンラインゲームなどを楽しんでいる人もいるでしょう。
“楽しみ”としてコントロールできている場合はよいのですが、飲酒やギャンブル、ゲームなどにのめり込みすぎて“やめたくても、やめられない”状態に陥ってしまうケースが多くみられます。そのような、習慣的に飲酒やギャンブル、ゲームなどの特定の物質の摂取や行為・行動をくり返すうちに、自分の意思でコントロールできない状態や、日常生活に支障が生じている状態を「依存症」といいます。
依存症は下記のようにさまざまありますが、依存状態が進行すると、生活リズムが乱れる、健康状態が悪化する、社会的役割が果たせない、家族や友人との関係が悪化するなどの問題が生じて、本人だけではなく家族や周囲の人の生活に悪影響を及ぼします。
依存症の例 |
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アルコール依存症
長期にわたって大量のお酒を飲み続けることで、お酒なしではいられなくなる状態を指します。依存症は中年の男性に多くみられますが、最近は若い女性にも増えているといわれています。肝臓やすい臓が炎症を起こすなど、健康状態の悪化や、仕事ができなくなるなどの問題が生じることがあります。 |
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ギャンブル等依存症
競馬、競輪、競艇、オートレースといった公営競技、パチンコ・パチスロなどのギャンブルがやめられなくなる状態を指します。若い人や男性、ストレスへの対処がうまくない人、ギャンブルが身近にあるなどの環境がリスク因子といわれています。借金などの金銭的な問題などが生じることがあります。 |
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ゲーム依存(ゲーム障害)
インターネットを介するオンライン・オフラインのデジタルゲームや、テレビゲームがやめられなくなる状態を指します。近年、依存が疑われる中高生が急増するなど、新たな問題となっています。昼夜逆転でゲームに没頭し睡眠障害などを引き起こしたり、それに伴い、遅刻や欠席・欠勤、居眠りが増えるなどの問題が生じることがあります。 |
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依存症は誰でもなりうる病気
依存症は、誰でもなる可能性があり、自分の意志でやめることのできない病気です。
依存症になったり、依存の対象をやめられないのは「意志が弱いから」「やめる気がないから」ではなく、脳内の機能異常が原因と考えられています。
アルコールやギャンブルなど特定の物質の摂取や行為・行動をすることによって、脳内では「ドーパミン」という快楽物質が分泌され、快感や多幸感が得られます。「また快感や多幸感を味わいたい」と特定の物質の摂取や行為・行動がくり返されると、脳がその刺激に慣れてしまい、さらに強い刺激を得なければ快感や多幸感を得られなくなり、依存の対象をより多く、頻繁に求めるようになります。
さらに、依存が進むと理性を司る脳の機能が低下し、依存の対象への欲求をコントロールできなくなり、“やめたくても、やめられない”状態に陥ってしまうのです。
依存症になっていても、本人は病気と気づいていない・認めないことが多く、自分から治療を受けることはほとんどありません。依存の対象をやめ続けることで、依存症は回復が可能な病気です。家族や周囲の人が精神保健福祉センターや専門の医療機関に早めに相談し、治療につなげることが重要です。
脱ギャンブルのカギは専門家による治療
ギャンブル依存症が疑われる人は約70万人と推計されていますが、専門の医療機関で治療を受けることができます。
ギャンブル依存症の治療プログラムでは、精神科医や看護師など専門家の指導のもと、2週間に1回、60分以上、患者10人程度のグループセッションを計6回行います。治療プログラムのワークブックを用いて、他の参加者との意見交換を通じ、ギャンブルに対する偏った知識や考えを見直し、ギャンブルに替わる行動を見つけるなど、ギャンブル依存症の回復を支援します。
ギャンブル依存症の治療プログラムを受けた人の6か月後の脱ギャンブル率は40%を超え、脱ギャンブルに至らなかった人でもギャンブルの頻度と出費が減り、治療プログラムの効果が確認されています。
なお、2020年度から健康保険を使ってギャンブル依存症の治療(依存症集団療法)を受けられるようになりました。
ギャンブル依存症の治療プログラムの効果(脱ギャンブルの継続率)
資料:厚生労働省保険局医療課「令和2年度診療報酬改定の概要(精神医療)」より作成 |
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ギャンブル依存症について正しく知ろう! |