●たばこが血管にダメージをもたらすたばこのリスクというと、気管支炎、ぜんそくなどの肺の病気や、多くのがん、胎児への影響があることなどが知られています。他にも大きな影響を受けるのが「血管」です。たばこには、発がん性物質をはじめとする多数の有害物質が含まれていますが、血管に最もダメージをもたらすのは、血管を収縮させるニコチンです。たばこを吸うと急激な血管の収縮によって血圧の上昇をもたらし、動脈硬化が進むことで、脳卒中や心筋梗塞などの心・血管病のリスクが増大します。
5月31日は、世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」です。この機会に、たばこのリスクを正しく認識し、ご自身のため、そして大切なご家族のために、「いつかやめよう」を「“今こそ”やめよう」に変えて、禁煙にチャレンジしてみませんか? ●禁煙すればさまざまな病気を予防できるたばこは心・血管病やがんなどの大きな原因になりますが、逆に考えると、たばこをやめることができれば、さまざまな病気を予防することが可能なのです。禁煙はスタートした直後から、着実に健康改善効果をもたらし、10年以上禁煙すると、たばこを吸わない人と同じ健康状態に近づくと考えられています。
受動喫煙対策により、路上喫煙禁止や公共の空間における禁煙が進み、この10年間、喫煙者は減少し続けています。その一方で、無煙たばこや電子たばこなどの新たなたばこ製品が登場しています。これらのたばこ製品にも、発がん性物質やその他の有害物質が含まれ、健康への影響が懸念されています。 資料:厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業「たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究」平成27年度報告書 ●「禁煙外来」で2人に1人が禁煙に成功している!?喫煙習慣の本質はニコチン依存症という「病気」です。「たばこをやめたくても、やめられない」という人は、医療機関での「禁煙治療」をおすすめします。一定の条件を満たせば、健康保険で禁煙治療を受けることができます。健康保険が適用される禁煙治療の自己負担額(3割の場合)は、たとえば1日1箱のたばこを吸っている人では約1~1.5ヶ月分のたばこ代程度です。近年、治療方法が進化し、禁煙治療を終了した人の2人に1人が禁煙に成功しているといわれています。 あなたも禁煙にチャレンジして、元気な血管を取り戻しましょう! |
[監修]新小山市民病院 理事長・病院長 島田 和幸 |