ビールのおいしい季節となりました。体内に取り込まれたアルコールの大部分は肝臓で分解されますが、過度な飲酒は肝臓にダメージを与え、肝機能を低下させてしまいます。お酒の量はほどほどにしましょう。
肝臓は健康を維持するうえでとても重要な器官です。アルコールや有害物質の分解のほか、胃や腸で吸収された栄養素を体に必要な成分に変えて貯蔵したり、脂肪の消化・吸収に必要な胆汁の生成や分泌を行ったりするなど、500種類以上の代謝反応が行われています。
日本人間ドック学会の調査によると、人間ドックで肝機能異常が見つかる件数は年々増え続け、1984年は受診者の9.6%でしたが、2012年では32.4%となっています。
健診で見つかる肝機能異常の多くは、脂肪肝によるものと言われています。脂肪肝とは、肝細胞に中性脂肪が溜まって肝機能が低下してしまう病気です。その原因は、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足からくる肥満、糖尿病などが挙げられます。飲酒が原因の「アルコール性脂肪肝炎」も、お酒をあまり飲まなくてもかかる「非アルコール性脂肪肝炎」も進行すると肝硬変や肝臓がんに至ることもあります。
※なお、日本では肝炎ウイルスの慢性感染による肝臓がんが9割を占めていますが、普段からの健康管理は大切です。
肝臓のはたらきは日頃の生活習慣に左右されやすいものですが、肝臓は予備能力が非常に高く、多少の障害があっても正常に機能し続けます。しかも、痛みなどの自覚症状が現れにくい「沈黙の臓器」のため、気づかないうちに病状が悪化してしまうのです。
適度な運動と休養、規則正しい生活、バランスの良い食事を心がけて肝臓を守りましょう。
肝臓が元気でいるためには、良質のたんぱく質とビタミンやミネラルの摂取を心がけましょう。良質なたんぱく質は、肉類や魚介類、大豆製品、卵、乳製品から、ビタミンやミネラルは、緑黄色野菜や海草類、きのこ類から摂取できます。また、肝臓の解毒作用を強める食品として、アサリやシジミなどの貝類、タコやエビなどがあります。
なお、脂質や糖質は控えめに。過剰な脂質や糖質は肥満や脂肪肝を招きます。
味付けは薄味を心がけ、塩分の摂りすぎに注意する
揚げ物の衣は薄付きにするなど、吸油量を抑える
糖分を多量に含む清涼飲料水を飲み過ぎない
外食では、食材の種類が多い物を選ぶ
肝臓の解毒作用に負担をかける加工食品、レトルト食品、スナック菓子、インスタント食品等は避ける
しじみ、エビ、鶏もも肉のほか、パプリカやアスパラガスなどの野菜をフライパンで炒めた後、炊飯器を使ってパエリア風に仕上げる一品です。昔から肝臓に良いと言い伝えられてきたしじみには、胆汁の排泄を促して肝臓の解毒作用を活発化するメチオニンやシスチン、タウリンが含まれています。また、肝機能をサポートする食材として、タウリンが豊富なエビ、良質なたんぱく質を含む鶏もも肉を取り入れました。