疲れ目やかすみ目を感じることはありませんか。目は「脳の出張所」とも呼ばれる重要な感覚器官であり、脳の情報の80%以上は視覚を通して集められると言われています。しかし、長時間にわたるパソコン作業や細かい作業、車の運転などにより、目は過酷な環境にさらされがちです。目の健康を守るために、目をいたわる生活を心がけましょう。
パソコン作業は目にとって大きな負担がかかります。目の負担を和らげるために、次のことを実践しましょう。
部屋の照明が薄暗く感じる場合はデスクライトを使用しましょう。なお、光源のちらつきはかえって目の疲労の原因となりますので、早めに改善しましょう。
また、パソコン作業中は自然とまばたきの回数が減り、目が乾いて疲れやすくなります。ドライアイ対策のためにも、眼薬で潤いを保つほかに、部屋の湿度を50~60%に保つようにしましょう。
目の健康を守るには適度な休息が基本です。次のような生活習慣を身に付けましょう。
目を使う作業を1時間続けたら10分間休憩を取りましょう。目の疲労度が改善されます。
車を運転する時には、こまめに休憩を取りましょう。また、シートポジションを整えて首や背中の緊張を減らすことは、目の疲労の軽減につながります。
厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、必要な睡眠時間には個人差はあるものの、1日6~8時間程度です。また、入浴は遅くとも就寝時間の30分前に済ませましょう。38~40℃くらいのぬるま湯に浸かると血行が良くなり、リラックスした状態で深い眠りにつくことができるとされています。
睡眠と同様に、食事も目の健康にとって大切です。栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
ビタミンA…網膜で光を感じる細胞の材料になるほか、角膜の細胞を作り換え、角膜の表面を保護する粘液の成分にもなります。ビタミンAが不足すると、暗いところが見えにくくなる、角膜の透明度の低下や炎症などの症状が見られることがあります。ビタミンAは、小松菜やにんじん、かぼちゃなどの野菜、牛・豚・鶏のレバーに多く含まれています。
β-カロテン…身体が必要とする量だけをビタミンAに変換、残りは蓄積されるという性質があります。β-カロテンは、かぼちゃやモロヘイヤ、いんげんなどの野菜に含まれています。
ビタミンB群…とりわけビタミンB1とB12には、視神経や筋肉の疲労を解消し、視力を向上させる作用があります。ビタミンB1の不足から起こる疲れ目もありますので意識的に摂りましょう。ビタミンB1は、豚肉やお米、豆類に、ビタミンB12は、シジミやイクラ、牛レバーなどに多く含まれています。
タウリン…目の網膜に存在する成分であり、網膜の神経を抑制することで網膜を守っています。また、視神経や筋肉の緊張をほぐす作用があるため、疲れ目の改善に効果的です。タウリンは、まぐろやサバなどの魚肉の血合いや貝類に多く含まれています。
ホタテは、網膜細胞の機能を正常に保ち、目の疲れを緩和するタウリンが豊富です。いんげんは、体内でビタミンAに変わるβ-カロテン、視力向上をもたらすビタミンB群の両方を含んでいます。卵は身体づくりの基本となる細胞や細胞膜に欠かせないコリンを含んでいて、目の健康をサポートします。
老眼は目の水晶体のピント調整力が弱まるもので、誰しもが迎える目の老化現象です。「遠くはよく見えるのに近くを見ると疲れる」「薄暗いと見えにくい」といった視力の異常を感じたら、早めに眼科を受診してください。
治療が必要な目の病気の症状には、疲れ目やかすみ目と似ているものがあります。たとえば、「白内障」「緑内障」「網膜剥離」「中心性網脈絡膜症」がその例です。ただの疲れ目だからといって放置せず、目の健康状態をチェックするために、定期的に眼科を受診しましょう。
協会けんぽが実施する健診では、視力検査(被保険者/一般健診)や眼底検査(医師の判断に基づき選択的に実施)を行っています。必ず受けるようにしましょう。
人差し指と中指をこめかみにあて、クルクルと円を描くように押します。力を入れ過ぎないよう、やさしく押してしてください。
目をリラックスさせながら、近くを見たり、遠くを見たりする動作を交互に繰り返すと、目の中の筋肉がほぐされます。
まぶたを閉じたり大きく開いたり、左右上下に視線を動かす動作を繰り返します。まばたきによって目の乾燥を防ぎ、視線を動かすことで目のストレッチになります。
温かいおしぼりをまぶたにのせると、目の周辺の筋肉がほぐされます。ただし、目に痛みがある場合は、目の周辺を冷やすようにしてください。