人間の体は、多くの細胞からできています。その細胞は、毎日、遺伝子をコピーして新しく生まれ変っていますが、その過程で遺伝子に傷がつき、異常な細胞ができることがあります。これが細胞の突然変異です。こうした“コピーミス”でできた細胞が増殖して体を弱らせてしまう状態が「がん」という病気です。
1981(昭和56)年以降、「がん」は日本人の死因の第一位となっている病気です。また、毎年30万人以上の人がこの病気で亡くなっています。生涯のうち、がんと診断されるリスクは約2人に1人と推計されているほどで、がんは国民病の一つといえるでしょう。
日本人に多くみられるがんは、「胃がん」「肺がん」「大腸がん」「前立腺がん」「肝臓がん」「乳がん」「子宮がん」などがあげられますが、近年では「大腸がん」「前立腺がん」「乳がん」などが増加している傾向が見られます。また、「子宮がん」のうち「子宮頸がん」は20~30歳代で増加しています。
がん患者数を男女別にみると以下のようになります。
がん患者が増える一方で、医学の進歩により治療技術や薬も開発が進んでいます。何といっても、がんは早期発見・早期治療がカギとなります。定期的にがん検診を受け、早くみつけることが大切です。
胃がん検診 | 胃X線検査 | 40歳以上の男女、年1回 |
肺がん検診 | 胸部X線検査と喀痰(かくたん)検査(喫煙者のみ)の併用 | 40歳以上の男女、年1回 |
大腸がん検診 | 便潜血検査 | 40歳以上の男女、年1回 |
子宮がん検診 | 子宮頸部細胞診 | 20歳以上の女性、2年に1回 |
乳がん検診 | 視触診とマンモグラフィ検査 | 40歳以上の女性、2年に1回 |
がんは、さまざまな要因が長い年月にわたって影響して発症する病気です。この要因として、喫煙や食生活、飲酒、運動不足といった生活習慣による影響が大きいといわれています。
がんは生活習慣によるところが大きいわけですが、中でもキーポイントとなるのが「禁煙」と「食習慣改善」です。
喫煙は、たばこを吸う人のみならず身近にいて煙を吸う人(受動喫煙者)のがんのリスクも高めます。喫煙によって起こりやすいがんは「肺がん」のみならず、「口腔がん」「咽頭がん」「食道がん」「膵臓がん」など多種あります。今すぐに禁煙を始めましょう。
一方、食習慣の改善のためには、塩分や動物性脂肪が高い食品を控え、野菜や果実を十分に摂取すること。また、免疫力をアップさせる食品、たとえばきのこや豆類などを積極的に取り入れることもがん予防には大切です。
毎日、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
がんの中にはウイルスや細菌に感染することでがんを発症するケースもあります。ウイルスの感染を予防するワクチンを接種したり、ウイルスや細菌等に対する早期治療を行うことが、がん予防としても重要です。
たとえば、子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルスの感染とされており、子宮頸がんの予防として、12歳前後の女児にはワクチン接種が、また、成人女性には定期的な検診受診が勧められています。