「このごろ、頭痛、肩こりがひどくて…。」
「パソコンを使っていると目の奥が痛んでくる。」
「目がかすむけれど、メガネが合わなくなったかしら。」
眼精疲労は、このように眼の症状だけではなく体の症状も現れ、しかも眼を休めても症状が回復しない状態です。ついつい、眼の使いすぎだから仕方ないと軽く考えがちですが、眼の病気や全身の病気、心理的な要因が潜んでいることもあります。軽く考えず、休んでも改善しない場合は、早めに眼科を受診しましょう。
近視や遠視、老眼、乱視など屈折異常があると、ピントを合わせるために水晶体(レンズ)の厚さを無理に調整しなければならず、眼の周囲の筋肉がいつも緊張している状態になります。また、見えにくいために姿勢が悪くなって頚部や背部に負担がかかることにもなります。
また、せっかくメガネやコンタクトレンズを使っていても、視力に合わなくなっていませんか。合わないメガネやコンタクトレンズを使い続けていると、やはりピントが合わずに眼を酷使することになります。特に、老眼は40歳から60歳頃まで進んでいきます。
定期的に視力検査をして、メガネやコンタクトレンズが眼に合っているか、確認をしましょう。
白内障は、眼の水晶体(レンズ)が濁ってくる病気です。視力が低下するため、疲れやすかったり、まぶしく見えたりして眼精疲労の原因となります。白内障は加齢とともに誰の眼にも現れてくるものです。また、糖尿病の合併症で白内障となる場合もあります。
緑内症は、眼圧が高くなって視神経を圧迫する病気ですが、眼圧は正常でも視神経が弱いために発症する場合もあります。視野(物が見える範囲)が狭くなったり欠けたりしますが、両眼で見ていると気づきにくく、健康診断や運転免許証の更新で発見されることもあります。失明の原因にもなりますのでできるだけ早い時期に治療することが必要です。眼の疲れや頭痛が現れる場合もありますので、単なる眼の疲れと考えずに受診しましょう。
作業場所、作業内容により、労働安全衛生法、事務所衛生基準規則により照度基準が決められています。また、私たちの仕事はVDT(画像情報端末)の使用と切り離せなくなってきています。VDTを使う場合の作業時間管理、モニターの位置や高さなどVDT機器等の調整、健康管理などについて、厚生労働省では平成14年に、新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定しました。
詳しくは下記を参考にしてください。
電子政府の総合窓口:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000043.html
厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0405-4.html
私たちの体は、自律神経系、内分泌系、免疫系がバランスをとっているのですが、長期間のストレスによってバランスが取れなくなると体のあちこちに変調を来たします。眼精疲労もそのうちの一つとして考えられます。
たかがストレスと考えず、全身の病気の引き金にもなります。その症状として眼精疲労に現れる場合もあるのです。最近眠れているか、早朝に目覚めることが続いていないか、食欲はあるか、集中力はあるかなど振り返ってみましょう。
メンタルヘルスに関する情報や相談機関については、下記のサイトなど参考にしてください。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」:http://kokoro.mhlw.go.jp/
眼精疲労の原因をはっきりさせた上で、原因に応じた治療が必要になります。
何よりも、長引く眼症状と身体症状がある場合は、まず受診して原因に応じた治療を受けましょう。
現代の生活は、近いものを見ることが多く、常に目の筋肉を緊張させています。緊張をリラックスさせるために遠方を見たり、血行を改善するための温パック、充血を取るための冷パックなど上手に使うと良いでしょう。
くれぐれも自己判断ではなく、眼科専門医の診察を受けて医師の指示に従った治療を最優先にしてください。