「貧血」にご用心!
「貧血」というと、急に立ち上がって、めまいを起こす、ふらつくなどの「脳貧血」を想像しますが、今回は酸素を供給する働きを持つ血液中の赤血球や、その中に含まれるヘモグロビンが減少し、体が酸素不足になる「貧血」のお話です。
献血の検査で比重不足のため献血出来ない、健診の血液検査でヘモグロビンの値が低いといわれたことはないですか?貧血は特に女性に多く、10人に1人が貧血ともいわれます。貧血の症状としては、顔色が黄色くくすんだようになる、爪の色が白っぽい、動悸、息切れ、めまいや頭痛、全身の倦怠感、疲れがとれにくいなど、様々な症状があります。
しかし、症状がなくても、血液検査の結果、貧血が疑われたら、ぜひ受診して下さい。「昔から貧血と言われていたから」と軽く考えていると、貧血を引き起こす疾患(※)を見逃す可能性もあります。貧血は体からのサインです。 |
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(※)貧血を引き起こす疾患(主なもの)
巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、胃潰瘍などの消化管出血、胃がん、子宮筋腫、子宮内膜症、慢性腎不全、白血病、多発性骨髄腫 など
貧血の中で最も多いのは「鉄欠乏性貧血」です。体に必要な鉄分が不足することによっておこります。鉄欠乏性貧血は圧倒的に女性が多いのですが、月経の出血で体から出て行ってしまう鉄と食事などから体に入ってくる鉄とのアンバランスが原因になります。もちろん男性も、入ってくる鉄より出血などで出てしまう鉄の方が多いと貧血になります。
日本人の食生活は慢性的な鉄分不足ともいわれます。欧米では鉄欠乏性貧血の頻度が日本に比べると低いのですが、小麦粉に鉄が添加されていたり、サプリメントなどの栄養補助食品を積極的に利用してるからではないかといわれています。サプリメントだけでなく、鉄製の鍋ややかんを使ったりすることでも摂取は出来ます。鉄は吸収が悪いので、食事の量を減らすと体の中に入る量が減ってしまいます。ダイエットは貧血の大きな原因になります。
鉄分を多く含む食品(レバー、ひじき、煮干し、ほうれんそうなど)を積極的に食べることも大切ですが、朝昼晩、1日三食きちんと食べること、肉、魚介類、卵、乳製品、大豆製品などのたんぱく質を意識して摂る、鉄分の吸収を助けるビタミンCもしっかり取り入れましょう。 |
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管理栄養士 山本 恭子