令和05年10月19日
暑かった夏に比べ過ごしやすくなってきましたね。
皆さんはどんな秋をおすごしでしょうか?食欲の秋?読書の秋?でしょうか?
今年は「運動」の秋に挑戦してみてはいかがでしょうか?
今月のテーマは「運動をはじめて糖尿病を予防しよう!」です。
初めに、糖尿病とはインスリンの分泌低下や作用低下(インスリン抵抗性)により、血液中の「糖」が増えすぎて全身の血管が傷つき、様々な合併症が出る病気です。
皆さんはご自身が糖尿病の危険があるのかどうか?気になったことはありませんか?
一番身近にチェックが出来るのは健康診断の時です。
健診結果で空腹時血糖の値はいかがでしたか?
空腹時血糖の正常値は110㎎/dl未満ですが、糖尿病を発症する一歩手前で予防するために、保健指導では健診で100㎎/dlを超えた場合に、早めに生活習慣改善に取り組むことをお勧めしています。
糖尿病の予防・改善で大切なポイントは食事や運動ですが、今回は糖尿病予防のための運動についてお話していこうと思います。
なぜ運動をお勧めするかというと、運動によって使われた筋肉が糖の利用を促進させるため、血糖コントロールの改善やインスリンの効きがよくなります。また、内臓脂肪が小さくなることで肥満が改善し、脂肪細胞から出ているアディポサイトカインなどインスリンの働きを妨害する物質の分泌が少なくなり、筋肉や肝臓での糖の処理能力が改善して血糖が安定します。
つまり、運動によって血糖コントロールやインスリン抵抗性や脂質代謝の改善が得られ、糖尿病の改善が期待できるのです。
このほかに、運動は脂質代謝の改善、血圧低下、心肺機能の改善、骨粗しょう症・ガンの予防、メンタルヘルスや生活の質の改善、認知症の予防の効果も期待ができます。
また、最近では骨格筋が運動や活動によって収縮する時に、筋肉から「マイオカイン」という物質が分泌されることも分かってきています。
この「マイオカイン」が筋肉での糖の取り込みを増やすなど糖尿病予防には有効と言われています。
お勧めの運動は有酸素運動とレジスタンス運動です。
有酸素運動とはゆっくり呼吸をしながらする運動です。代表的なものはウォーキングや水泳やサイクリングです。頻度は週3回以上で(週150分かそれ以上)、運動持続時間は20分以上行うことが推奨されています。
レジスタンス運動とは筋肉にレジスタンス(抵抗)をかけ、動作を繰り返し行う運動です。
スクワットや腕立て伏せやダンベル体操などを10~15回程度の回数反復して、1~3セットの無理のない範囲で実施することをお勧めします。(ベンチプレス等、息を止めて力いっぱい負荷をかけての運動は糖尿病の予防目的ではお勧めしません)
運動のタイミング的には食後の血糖が上がってくる、食後1時間頃に行うとよいですが、無理な時はご自身のライフスタイルの中で継続して運動を行える時間を見つけてください。
血糖が高いまま放っておくと痛くもかゆくもないまま血管を痛めます。
そして気が付いた時には糖尿病が進んで目が見えなくなったり、足先の血行が悪くなって足先が腐ったり(壊死)、腎臓が悪くなり透析治療が必要になります。
そうならないように、ぜひこの機に10年後20年後の健康を考えて糖尿病予防のみならず、元気で健やかにお過ごしいただくために出来る運動からぜひチャレンジしてみてください。
*運動を行う場合の注意:
糖尿病で医師に管理をしていただいている方や、健康診断で空腹時血糖をはじめ他の健診項目で受診が必要という判定がある方は必ず受診をして医師に相談してから行ってください。