平成30年09月28日
口の清潔は、全身の様々な病気、肺炎やインフルエンザの予防にもつながります。また、窒息を防ぎ、認知症を予防するためにも、良く噛んで食べるためにも、お口の機能を保つことが大事です。栄養をきちんと摂取できれば、免疫力が高まり、体力も付きます。美味しく食べ、楽しく会話して心身ともに健康に生活し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を向上させるために、お口の健康を守りましょう。 |
☆歯周病と全身の健康のかかわり☆
近年、多くの調査から、歯周病が、全身の健康に深く関係していることがわかりました。その中でも、特に歯周病とメタボリックシンドローム、糖尿病、心臓病との関係について注目してみましょう。
◯メタボリックシンドロームが進んでいる人ほど、歯周病のリスクが高まる
糖尿病や動脈硬化など、歯周病とメタボ関連の病気が、いくつも深く関わりあっているだけにメタボと歯周病も相互に関係していると考えられています。
◯歯周病の重症化が糖尿病を悪化させる
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くことでからだ中の血管が傷つき、それによって末梢神経や腎臓、目の網膜など、様々な器官や臓器に異常が現れ、合併症を伴い死に至る怖い病気で、近年ますます増加しています。
◯歯周病治療で血糖値の改善も
歯周病が糖尿病を悪化させることから、歯周病を治療することでTNF−αが抑えられ、インスリンの働きが活発になり、血糖コントロールが改善されることになります。
◯糖尿病予防の基本は「食事」と「運動」・そしてそれを支えるのが「歯の健康」
歯を失う原因の90%がむし歯と歯周病です。特に50歳代以降では、歯周病が悪化して歯を失うことが多く、高齢期の食生活に大きな支障をきたします。自分の歯が少なくなると、あまり噛まなくとも食べられる柔らかな食品を摂ることが多くなりますが、柔らかな食品にはブドウ糖やショ糖など、吸収の早い糖質が多く含まれるので、血糖値を急激に上げる危険があります。
一方噛み応えのある食品には、食物繊維が多く、脂質や糖質の量は少なめで、ゆっくり吸収されるため、血糖値をあげる危険が少ないと言われています。
◯歯周病が心臓病のリスクを高めることも!
歯周病になると、その原因となる細菌が血液中に入り、心臓病などに感染を引き起こす場合があります。心臓の内膜や弁膜に障害のある人にみられる細菌性心内膜炎は、そのほとんどが口の中にいる細菌ですので、予防には口の中を清潔に保つケアが不可欠です。また、歯周病の原因菌が心臓をとりまく冠動脈に感染すると、毒素や炎症を引き起こす物質が血栓を起こしやすくし、動脈硬化を進行させると指摘されています。
☆よく噛むことのメリット☆ ◯肥満を予防 満腹感を得られるので、食べ過ぎの防止になります。 ◯唾液の分泌 大量の唾液が細菌を洗い流し、むし歯・歯周病を予防します。 ◯明るい表情 咀嚼筋や表情筋が鍛えられ、言葉や表情が生き生きします。 ◯脳が活性化 脳の血流が活発になり、反射神経や記憶力、集中力が高まります。 ◯良く噛むと、唾液でうるおう しっかり噛んで、あごや舌の筋肉を動かすことが、唾液の分泌を促進します。 |
最後に・・・
私たちの生命活動は、言うまでもなく食べることによって支えられています。食べるためにもなくてはならない「歯」。歯の寿命を延ばし、健康寿命を延ばしましょう。
保健師 吉岡 瞳