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予防歯科コラム第8回

【歯周病の予防法-生活習慣病の観点から(3)栄養素・食品-】

 

 歯周病は口のなかの細菌が原因で起こる感染症ですが、生活習慣が深くかかわっていることをこれまでに話してきました。今回は、歯周病と栄養素・食品との関連についての話です。歯周病に限らず、健康な体を保持・増進をするためには、栄養は非常に大事であることは疑いのない事実です。歯周病は細菌の力と体の抵抗力とのバランスが崩れたときに進行しやすくなるため、歯周病の予防にも、体の抵抗力の低下を避けるために適切な栄養素を適切な量だけ摂取することが大切です。

 これまでに、歯周病と関連がある栄養素としてビタミンCやカルシウム、脂質などが報告されています。ビタミンCは古くから歯周病(歯肉炎)と関連することが知られており、ビタミンCやカルシウムの摂取量が少ないと歯周病になるリスクが高くなることが示されています。また、脂質としては、不飽和脂肪酸の一つであるドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量が少ないと歯周病(歯周炎)の進行に関連することが報告されています。さらに、いくつかの研究で、ビタミンCやE、カルシウムと大豆イソフラボン、プロバイオティクスとしての乳酸桿菌やいろいろな抗菌物質を含む食品が、歯周組織の健康の保持・増進に有用であることを示す結果が報告されています。

 近年、さまざまな健康食品が注目されていますが、なかでも、効能が科学的に証明されたものとして、健康強調表示を国に許可・承認された「特定保健用食品(トクホ)」があります。歯科関連のトクホもありますが、多くはう蝕(むし歯)を対象としたもので、歯周病に関連するものは現在のところ2つしかありません。「ハグキの健康を保つ更年期を過ぎた女性の方の食品」である「カルシウムと大豆イソフラボン」配合タブレットと「歯垢の生成を抑え歯ぐきの健康を保つ」食品である「ユーカリ抽出物(マクロカルパールC)配合チューインガム」です。ユーカリ抽出物は歯周病細菌に対する増殖抑制作用があり、その成分を配合したチューインガムは、ヒトを対象とした無作為化比較試験で、歯垢の堆積量を抑え、その結果、歯肉炎を抑制することが示されています。▼また、チューインガムを噛むことは、唾液の分泌を促します。唾液には自浄作用や抗菌作用などさまざまな機能を有する成分が含まれています。唾液量が少ないとう蝕や歯周病のリスクが高くなることから、チューインガムを噛むだけでも歯周病の予防につながります。

 しかし、特定保健用食品はあくまで「食品」で、医薬品のように治療に用いられるレベルの効果があるわけではありません。したがって、このような歯周組織の健康の保持・増進に有効な成分を配合した食品をうまく利用し、歯周病予防の一つの方法としてセルフケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 ▼Nagata Hら、Journal of Periodontology, 2008; 79: 1378-1385

 

(関西女子短期大学 歯科衛生学科 永田 英樹 教授)